21世紀に入ってから、携帯電話が一般に普及し始めました。
携帯電話は、固定電話とは違い、移動しながら連絡を取り合えます。
便利であり、当時は画期的でした。
しかし、携帯電話のおかげで便利になった反面、人の心に緩みを生み出す原因にもなりました。
今、待ち合わせにずぼらな人が、増えています。
携帯電話があれば、電波が届くかぎり、いつでもどこでもつながります。
人と待ち合わせの約束をするときのことです。
「携帯電話があるから、着いてから正確な場所を伝えればいいだろう」と思い、約束を曖昧にしがちです。
たとえば「お昼ごろ、駅で待っています」という約束に、心当たりはありませんか。
「お昼ごろ」は、人によって感覚が違います。
「12時ごろ」と思う人もいれば「13時ごろ」と思う人もいます。
「駅」という曖昧な言い方も、よくありません。
北口でしょうか、南口でしょうか。
改札口は、内側でしょうか、外側でしょうか。
はっきりしないのです。
「今、着いたけど、どこにいますか」
「よくわからないです。そちらこそ、今どこにいますか」
「どこにいるのか、よくわかりません。どうしましょう……」
ささいなことですが、いらいらします。
会えそうで、会えないのです。
初めての場所のせいではありません。
携帯電話に頼り切って、待ち合わせの約束を曖昧にしたから、いけないのです。
携帯電話ですぐ会えるはずが、逆に会いにくい状況を生み出しています。
初めての場所なら、初めての場所なりの約束があります。
「15時に、○○駅の北口の改札口を出たところで、待っています」
場所や時間を、正確に決めます。
初めてでも、駅員に聞けば、迷うことはありません。
たとえ携帯電話があるとはいえ、待ち合わせの約束を正確に決めることが大切なのです。