夫婦で会話をしていると、以前に言ったことを、相手がすっかり忘れていることがあります。
パソコンの使い方を妻に教えたのに、忘れている。
妻が夫に料理の仕方を教えたのに、忘れている。
そんなときについ、口にしてしまうおなじみの発言があります。
「前にも言った」です。
その奥深さに、気づいていますか。
この言葉は、あらためて考えると考えさせられる言葉です。
前にも言ったというのは、たしかに事実であり、本当の話なのでしょう。
正しい主張という人と言われる人の、両者を比べてみましょう。
きちんと相手の話を聞いて覚えている人。
一生懸命に話をしたのにもかかわらず、すっかり忘れている人。
普通に考えれば、どう感じますか。
普通に考えると、覚えているほうが偉くて、忘れるほうが悪いと思いますね。
「前にも言った」というのは正当な主張であり、忘れる人が悪いのだと思います。
しかし、です。
これが難しいところです。
たしかに発言は正しいですが、言わないほうがいい。
人間関係にひびを入れる言葉だからです。
「正しい、間違い」は大切なことではありません。
「気持ちのいい言葉かどうか」が大切です。
夫婦では、思いやりが大切です。
あなたが相手から「前にも言っただろう」と言われると、どのような気持ちになりますか。
やはり悲しくなったり残念に思ったり、なかには偉そうな言い方に腹を立てる人もいるでしょう。
それがきっかけで、夫婦関係にひびが入ります。
優しいトーンで「前にも言った」と発言したつもりでも、なぜか偉そうに聞こえてしまうから、難しい。
相手の気分を害さないような言葉を選んで発言するように配慮することです。
人間なら、誰でもうっかり忘れることがあります。
人によっては、忘れっぽい人やうっかりの人も多いことでしょう。
あなたでも、うっかり忘れた経験は何度もあるはずです。
忘れることはあって当然。
話をするときも「まあ、人間だから忘れるだろうな。そのときはまた教えよう」と思うくらいでいい。
そういう前提があれば、何度でも同じことが言えるようになることです。
1回でわからなければ、2回でも3回でも言う。
3回言ってわからなければ10回でも親切に伝えます。
繰り返して、相手に伝えます。
「前にも言った」と言いたい気持ちをぐっとこらえ、何度でも同じことが言える人になるようにしましょう。
これが夫婦関係を維持させる方法です。