まず、私の職場であった上司の失敗例を紹介します。
実際にあった話です。
Kさんという50代前半の男性の上司がいました。
Kさんは、部下とは別の部屋で仕事をする上司でした。
上司が部下と別の部屋にする理由は、さまざまです。
「自分の仕事に専念したい」
「部下からの不満を聞きたくない」
「上司らしく、仕事は個室で行いたい」
そういう理由はわかります。
たしかに上司としては、自分の仕事に専念するために、個室で仕事をする必要もあるでしょう。
しかし、そういう事情があったとしても、本当に別の部屋で仕事をする必要があるのか、あらためて考えることです。
上司であるKさんは部下とのコミュニケーションが不足していました。
部下への指示は、ほとんどメールです。
ある日、部下にメールを出して「これをしろ」と命令だけをします。
冷たい指示、無理な注文、一方的な進め方など、珍しくありませんでした。
部下との話し合いもなく「決めたから」と言って、重要な仕事の内容を独断します。
当然のことながら、部下からの不満は増えました。
「上司が見えない」
「何を考えているのかわからない」
「仕事の内容に無理がある」
数をあげれば、切りがありません。
「今日、上司は出社しているのか」という不思議な会話さえ、部下との間で交わされるようになったほどです。
多くの部下が職場に不満を持ち、やめていくことになってしまいました。
上司と部下との関係は、よくない状態でした。
その原因の1つは「上司が、部下と別々の部屋で仕事をしていたから」です。
別々の部屋になると、上司と部下の会話が少なくなります。
見えなくなると誤解が増え、冷たい職場になってしまいます。
一方、人望を集めるリーダーは、部下と一緒の部屋で仕事をします。
多少、環境が悪かったり、狭かったりしても、一緒にすることが大切です。
部下の近くで仕事をしないと、部下の顔が見えません。
体調が悪いときには、部下に「大丈夫?」という心配する言葉もかけられるでしょう。
近くにいるからこそ、部下に話しかけやすくなります。
部下の性格もわかれば、人間関係にもよい影響を与えます。
人望のある上司ほど、部下と一緒に仕事をします。
一緒に仕事をしていれば、部屋も一緒であるのが自然です。
部下のしている仕事を近くで見ているからこそ、考えるだけではわからないことがわかるのです。