なぜバス停でバスを待っていると、いらいらしてしまうのでしょうか。
バスが来るほうを見ているからです。
バスが来ているか気になって、道路の先に目をやります。
まだバスの姿が見えなくて「まだ来ていない」と心の中でため息をつく。
数十秒後、またバスが来るほうをちらりと見ては「まだ来ていない」と心の中でため息をつく。
1分ごとにちらちら見る人もいれば、数秒ごとにちらちら見る人もいます。
これが何度も繰り返されるにつれて、待たされている感が高まっていく。
これではいらいらするのも当然です。
わざわざ自分の中でいらいらする原因を作り出しています。
いくらバスが来るほうを見たところで、バスの到着時間が早くなるわけではありません。
時刻表が前倒しになるわけではありません。
バスは基本的に、時刻表のとおりに運行しています。
どうすればバス停でいらいらしないでバスを待てるのでしょうか。
ここで、発想の転換です。
バスが来るほうを見るのではありません。
バスが来ないほうを見るのです。
道路の右側からバスが来るなら、左側を見ましょう。
ほかに待っている人たちがいれば、みんなと見る方向が逆向きになるはずですが、それでいいのです。
別のことに注意が向いて、何か気づくことがあるでしょう。
人の往来があって、人間観察を楽しめるでしょう。
街路樹やお店の外観があって、町の雰囲気を楽しめるでしょう。
立派な木や美しい草花に気づき、季節感を楽しめるでしょう。
気づきの可能性は、まだまだあります。
気になるお店を見つけて「今度行ってみよう」と思うかもしれません。
目を引く車が走っていて、興味をかき立てられるかもしれません。
おしゃれなファッションをしている人がいて、着こなしの参考になるかもしれません。
上を見上げれば美しい青空が広がっていて、面白い雲の形を楽しめるかもしれません。
平凡な光景かもしれませんが、いざじっくり注意を向けてみると、何らかの発見があるもの。
普段なら見過ごすであろう何かに気づけるはずです。
何らかの気づきが得られ、よい暇つぶしになります。
バスが来ないほうを見ることで、バスから注意がそがれるので、いらいらすることがなくなります。
それどころか楽しくて面白い時間になるでしょう。
バスの待ち時間も、普段より短く感じられるようになります。
バスが来ないほうを見ながら暇つぶしをしていると、バスの到着音が聞こえてくるのです。