気持ちのやりとりをするためのお金の使い方は「割り勘をやめること」です。
割り勘とは、複数人で食事したときに、費用を各自が均等に分担することをいいます。
食事をして合計2,000円すれば、1人分の値段は1,000円となり、別々に支払います。
割り勘にすれば、お金のやりとりで、揉めることはなくなります。
単純に半分ずつにするのですから、損得はありません。
しかし、私は金銭感覚を本当に養いたければ、割り勘をやめることをおすすめします。
割り勘がいけないわけではありません。
ただ、割り勘をしていると、いつまで経っても金銭感覚が養われないからです。
割り勘をしないと、なぜ金銭感覚を養うことができるかおわかりですか。
「借りができた」という気がかりが残るからです。
割り勘をやめたとき、お金のやりとりから、気持ちのやりとりへと、スイッチを切り替えることができます。
「今回は、私が支払いますよ」と肩代わりされると「じゃあ、次回は私が全部支払おう」となります。
心のどこかで「借りを返さなければいけない」という気持ちが残ります。
また一緒に食事をしたときには「前回は払ってもらったから、今回は私が払いますよ」と言って、あなたが全部支払えばいいのです。
プラス・マイナス・ゼロになります。
もちろんそのときの食事の内容により多少の差はあるでしょうが、大きな損得はありません。
しかし、このやりとりを繰り返すことで、気持ちのキャッチボールができるようになるのです。
現金の貸し借りはいけませんが、食事の貸し借りはOKです。
割り勘をやめて「借りた。返す。返した。また借りる」を繰り返すと、気持ちのやりとりができるのです。
ある日、韓国人の友人から「なぜ日本人はいつも割り勘なの」と不思議な質問をされたことがあります。
韓国では、割り勘という風習があまりないそうです。
食事の際は、どちらかが代表して支払うことが風習となっているとのこと。
「気持ちのやりとりを大切にしているからだ」といいます。
お金の貸し借りはいけませんが、食事をおごられたという気持ちのやりとりは大切です。
私は好きな人がいるときには「今回は全部こっちで払うよ」と言います。
一度きりのデートで終わることはなくなります。
相手には「借りがあるから返さなきゃ」と気持ちが残り、相手から「また食事に行こうよ」と誘ってくれるようになるからです。
割り勘をやめると、人間関係が長続きします。
割り勘は、たしかに簡単で正しい。
ただし、数字も半分ですが、気持ちも半分です。
思い切って気持ちのやりとりをしたければ、割り勘は控えましょう。
「借りができた」という気がかりが残り、金銭感覚に変わります。