江戸時代、お伊勢参りが流行しました。
お伊勢参りの際は、1日30キロから40キロほどの距離を歩いていたと言われています。
ハーフマラソンどころか、もはやフルマラソンに匹敵する長距離です。
もちろんお伊勢参りですから、1日では終わりません。
江戸から出発するケースで考えると、およそ460キロの距離があり、片道で15日、往復で1カ月かかります。
平坦な道だけでなく、もちろん山あり谷ありです。
1日30キロから40キロという距離を、毎日1カ月間続けていたことになります。
これは驚異的なことです。
1日でも大変なのに、1カ月も続けるのです。
「本当に毎日そんなに歩いていたの?」と信じがたいのですが、紛れもない事実です。
お伊勢参りは一般庶民が中心です。
もともと足腰を鍛えていた人なら別ですが、一般庶民の体力でそれだけ歩いていた事実にも驚かされます。
私たちに秘められた能力にはすさまじいものがあります。
つくづく人間は「やればできる生き物」ということを痛感させられます。
一方、現代人は便利な乗り物の普及によって、歩くことがめっきり減りました。
1日平均5キロ程度しか歩いていないといわれています。
1日1キロも歩いていないという人すらいます。
自転車や自動車、バスや電車、新幹線や飛行機。
便利な乗り物のおかげで移動は楽になりましたが、その分たっぷり歩く機会が減っているのです。
たまにはへとへとになるまで歩いてみてはいかがでしょうか。
私たちは、たっぷり歩くことを忘れています。
休日や週末など、時間に余裕のあるときにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
目的地を決めて歩くのも良し。
目的地を決めずに歩くのも良し。
歩いて、歩いて、歩きまくる。
足が棒になるまで、とことん歩いてみるのです。
たくさん歩いた分だけ、たくさんの人や景色と出会えます。
遠くまで移動できるので、ちょっとした冒険ができるでしょう。
へとへとになるまで歩くと、たっぷり運動ができるので、足腰も鍛えられます。
日頃たまっているストレスも、しっかり解消できます。
へとへとになるまでたっぷり歩くことは、フルマラソンを完走したのと同じくらいの達成です。
「私はやればできる人間だ!」と自信がつき、自己肯定感が高まるのです。
歩いた後は、シャワーや入浴を気持ちよく楽しめます。
夜はぐっすり寝られ、良い夢を見られます。
激しい運動は体を痛める危険がありますが、歩くことなら安全に運動を楽しめます。
私たち人間にとって歩くことは、とても大事なことです。
医学の父ヒポクラテスは「歩くことは人間にとって最良の薬である」という格言を残しています。
歩くだけで健康維持につながり、気持ちも明るくなります。
お金はかからないので気軽に取り組めます。
江戸時代のお伊勢参りを考えると、私たちはまだまだ歩く力を発揮できます。
私たち人間は「やればできる生き物」です。
たまにはへとへとになるまで歩くのも悪くありません。
たっぷり歩いたら、充実した時間を送ったことになるのです。