あるところに、息継ぎに悩んでいる水泳選手がいました。
クロールは群を抜いて速いのですが、息継ぎに癖があって、スムーズに泳げないでいました。
何度練習してもうまくならない。
息継ぎのせいで体が沈んでしまったりスピードが落ちたりします。
うっかり水を飲んでしまうこともしばしば。
クロールのフォームは美しいのですが、息継ぎがネックになっているせいでスピードが落ち、順位もタイムも悪くなっていました。
競技ではなかなか良い結果を出せないでいました。
「どうしても息継ぎがうまくできない。何とかうまい方法はないものか?」
悩んでいたある日、ふとユニークな発想が浮かびました。
息継ぎなしで泳ぎ切ることにしたのです。
水泳競技では息継ぎが必須というルールはありません。
今までは「息継ぎはするものだ」という思い込みがありましたが、発想を変えて息継ぎなしで泳いでみることにしたのです。
必要なのは、肺活量のみ。
大会に向けて徹底的に肺活量を鍛えました。
その結果、本番では、50メートルもの距離を息継ぎなしで泳ぎ切りました。
しかも息継ぎをしない分、水の抵抗が減って、見事に1位に輝きました。
それだけではありません。
1位という結果だけでなく、大会新記録まで打ち立てました。
それからというもの、その人は息継ぎなしが自分の競技スタイルになりました。
この話は、私たちにも通じるところがあります。
あなたに苦手や不得意があるとします。
何をどうやってもそれを克服できないなら、いっそのこと「なし」にできないか考えてみてください。
「しなければいけない」「そうするものだ」という思い込みほど怖いものはありません。
頭を柔らかくしましょう。
常識にとらわれず、思い込みや先入観を捨てて、柔軟な発想を取り入れてください。
息継ぎの下手な選手が息継ぎなしで50メートルを泳ぎ切ったように、無理に克服するより、回避できる方法を考えればいい。
克服を諦めることが、突破口になることがあります。
素晴らしいブレイクスルーが生まれるかもしれないのです。