「好きな仕事を選んだから、楽しくやってこられた」
これは私の父が、よく口にする言葉です。
つい先日、父は無事退職を迎えました。
自分の人生を振り返り、私に諭すかのように、よくこの言葉を口ずさんでいます。
父は昔から残業ばかりで、私が幼稚園のころからずっと帰りが夜の9時を過ぎていました。
ひどいときは、深夜の2時ごろに帰ってくることもあります。
それでいて朝は7時半には家を出ます。
私が寝た後に帰り、起きるときにはもう家を出ていて、父の姿をなかなか見られないこともありました。
父は家に帰ってきているはずなのに、父にはなかなか会えない不思議な毎日なのです。
朝起きて食卓につくと、テーブルの上には父が食べた形跡が残っていて「とりあえず帰ってきているんだな」とわかります。
子どもながら、そのうち過労死で倒れるのではないかと本気に心配したこともあります。
私がアメリカに留学している最中に国際電話で母に電話すると「昨日も帰るのが遅かった」とよく愚痴をこぼしていました。
働きすぎて父は大変だろうと聞いたことがありますが、本人はそれほどつらいとは感じていないことが驚きでした。
「大変だけど楽しい」
こういうことを言い始めるのです。
「好きな仕事だからもう少し頑張ろうと思うし、朝も好きな仕事が待っているから早起きができる」
驚いたことに本人は楽しいがゆえに、苦労もそれほど感じていなかったようです。
心配していたほど疲れている様子もなく、普通にやってのけています。
面白いことにその反対のことも言っています。
「もし好きではない仕事だったら、ここまではできていないだろうな……」
お金を稼ぐ人には共通したポイントがあり、好きなことを仕事にしているということです。
仕事で成功を収めている人で、嫌いなことを仕事にしている人はほとんどいません。
メジャーリーグで大活躍をしているイチロー選手も「野球が大好き」と言っています。
野球界で成功している人で「野球が嫌いだ」と言っている人は1人も聞いたことがありません。
プロゴルファーの宮里藍さんは「ゴルフが大好き」と言っています。
ゴルフでも同じく「ゴルフが大嫌いです」と言っているプロゴルファー選手も見たことも聞いたこともありません。
ある著名人も「仕事が面白くてたまらない。将来は宇宙旅行の代理店を作りたい」と言っていました。
過去の偉人たちを思い浮かべてください。
火の鳥・ブラックジャックなどで有名な、漫画家の手塚治虫さん。
「これでいいのだ」という名言とともに、天才バカボンを生み出した赤塚不二夫さん。
松竹映画『男はつらいよ』シリーズで、寅さん役として有名な渥美清さん。
仕事に差し支えるため、病であったことを隠し、人生の最後まで俳優として演じ続けた緒形拳さん。
みんな、自分の好きなことを仕事にしています。
偉業を成し遂げました。
成功している人で「仕事が嫌いです」と言っている人など、1人もいません。
成功している人には、好きなことを仕事にしているという共通点があるのです。
実はあなたが仕事で成功できるかどうかというのは、どんな仕事を選ぶのかで将来がどうなってしまうのかがほぼ決まっています。
好きな仕事を選んでいれば、それだけ成功しお金を稼ぐこともできるようになります。
好きだから楽しく感じることができ、やる気も集中も根気も出てきます。
ですが、好きでもない仕事、ましてや嫌いな仕事を選んでいるなら、成功できないのは目に見えているのです。
やりたくもないからやる気も出ない、つらく感じるから疲れやすくなり、いつも愚痴ばかりになります。
仕事を選ぶときは、どれだけ稼げるのかで決めるのではありません。
またどれだけ人から尊敬されるか羨ましがられるかで決めることでもありません。
自分が心から好きだなと感じる仕事を選ぶことが重要なのです。