私の実家では農業をし、自給自足をしているため、いろいろな作物を育てています。
品物として売り出しているのは、ミカンが中心です。
そのほかの作物は、基本的にすべて水口家の食卓に並ぶことになっています。
しかし、ときどき作物が思ったよりよく育ち、余ってしまうことがあります。
そんなときには、早めのうちにご近所さんにあげてしまうようにしています。
時期が遅く、腐ってからでは食べ物になりません。
余るとわかれば、ご近所さんに「おすそ分けです」と、話しかけていきます。
余ってしまうと処分も大変です。
処分するくらいなら、お世話になっている人に分けたほうが、作物もご近所さんにも喜ばれるというものです。
すると不思議なことに、今度はご近所さんからお返しのもらいものを頂くことになります。
もらってばかりではいけないと思い、お返しをしてくれます。
「うちでもこれが余っているから、ぜひ食べて」
母は最初からもらうことが目的であげたわけではありません。
単純に余って必要ないから、誰かにおすそ分けをしたわけです。
しかし、あげればあげるだけお返しにいろいろな物をもらえるようになります。
与えることで自分も豊かになっていったのです。
余り物は捨てるくらいなら、みんなに分けてあげたほうが喜ばれます。
それがご近所さんとの交流の機会にもなるのです。