アイデアを考えるときには、大切にしたい前提があります。
それは「自分はわかっていない」という前提です。
アイデアを考えるとき、すでに知っている言葉なら、あらためて調べることはありません。
「その言葉なら知っているよ」と思うでしょう。
特に意識することもなく、既知の認識で考えることが多いはずです。
しかし、自分が認識している意味は、本当に正しいのかわかりません。
誤解や先入観という可能性があるからです。
誤解や先入観は、なかなか自分では気づけません。
「自分はわかっている」と思った時点で、すでに誤解が発生している可能性があります。
ゼロベースで考えたくても、自覚がなければ対処のしようがないのです。
そこで役立つのが「自分はわかっていない」という考え方です。
スタート地点より、もっと下がって考えるということです。
すでに意味をわかっていたとしても「わかっていない」という前提から考えましょう。
「わかっていない」という前提になると、初心に返ることができます。
基本に立ち返ってゼロベースで考えると、頭が柔らかくなるため、アイデアが生まれやすい状態になります。
たとえば「幸せな人生を送るアイデアを考える」という題目があるとします。
ここで注目したいのは「幸せ」「人生」というキーワードです。
「幸せ」も「人生」も聞き慣れた言葉で、意味も熟知しているはずですが「わかっていない」という前提で考えます。
「幸せ」や「人生」という言葉を初めて聞いたものと仮定して考えてみます。
言葉の意味を辞書やインターネットで調べてみましょう。
自分の誤解や先入観に気づいたり、意味を深く考えるきっかけになったりします。
意味や定義について調べると、思わぬ発見が得られたり、視野が広がったりするはずです。
「お客さまを喜ばせるアイデアを考える」という題目があるとします。
すぐに「お客さまはこの人」という認識を持っているはずですが、注意が必要です。
金銭取引のある人だけお客さまと思い込んでいることもあるでしょう。
自分が認識しているお客さまとは、狭い範囲であり、見落としがあるかもしれません。
このときも「自分はわかっていない」という前提から考えることが大切です。
「自分にとってお客さまは誰なのか」
「ほかにも潜在的なお客さまがいるのではないか」
「そもそもお客さまとは何なのか」
自問自答を繰り返すことで、潜在的なお客さまの存在に気づくきっかけになるでしょう。
お客さまの見方や認識が変わり、ビジネスのブレイクスルーを生み出せる可能性があります。
わかっていない前提から入るとユニークな視点が得られ、アイデアが生まれるきっかけになります。
これが「謙虚」ということです。
「自分はわかっていない」という前提で考えると、謙虚になってアイデアを考えることができます。
基本に立ち返って、ゼロベースで考えることで、新しいアイデアが生まれるのです。