失恋をした直後、東日本大震災が起きました。
マグニチュード9.0の超巨大地震です。
私は、東京の新宿にある高層ビルの22階にいました。
震源から少し離れていた東京では、震度5を観測しました。
ビルの高いところだったので、地上にいるよりはるかに大きな揺れを感じました。
あんなに大きな揺れを経験したのは初めてです。
一瞬、死を覚悟しました。
その後、ニュースで大きな津波によって、大勢の人たちが亡くなったことを知りました。
一瞬で建物が流され、町が壊滅する光景を目にしました。
その瞬間、自分が失恋していることが、ちっぽけに思えたのです。
「失恋をして落ち込んでいます」というのが、恥ずかしくなりました。
逆に、叱られそうな気がしました。
今まで自分の失恋で涙を流しましたが、地震と津波によって町が流され、人が亡くなった事実に涙を流しました。
命を失った人が大勢いますが、私の場合、命まで失ったわけではありません。
命を失うと取り返しがつきませんが、失恋はまた別の恋をスタートすればいいだけです。
自分より、苦境に立たされている人を見聞きしているうちに、自分の悩みが小さいことに気づきました。
悩みというほどのことではありません。
失恋をしたことはつらいですが、致命的ではないのです。