去勢・避妊手術とは、動物から生殖能力を取り除くことをいいます。
オスなら、精巣を摘出して生殖機能を永久的に奪います。
メスの場合は、卵巣除去になりますから、おなかを割っての手術になります。
去勢・避妊手術をするべきかどうかは、難しい問題です。
欧米では去勢や避妊手術に比較的寛容ですが、ヨーロッパでは動物虐待という考えが強い傾向にあるようです。
動物飼育の専門家の間でも、意見のわかれるところであり、難しい問題です。
なぜそんなことをするのかというと、やはり子どもを産んでもらっては困るという状況があるからです。
子どもを産み育てるというのは、犬だけでなく、飼い主にとっても大変な労力が必要です。
オスであれメスであろうと、屋外で犬を飼っていると、どこかの野良犬と交尾をして、妊娠してしまうことがあります。
室内で多頭飼いをしている場合、飼い主の目を盗んでオスとメスとが交尾をし、妊娠してしまうことも考えられます。
子どもを産んでも、1匹くらいならまだ容認できることでしょう。
しかし、人と違い、犬の場合は一度に多くの子どもを産みます。
1匹だけ生むこともありますが、まれです。
だいたい5匹前後の子犬を一度に生むことになるはずです。
それだけ多くの子犬の世話を、きちんとできる飼い主ならいいのでしょう。
多くの子犬に囲まれ、明るい家庭になる。
そう思いたいところですが、理想と現実は異なるようです。
犬が暮らしていける生活スペースにも限りがありますし、成犬になれば、餌代の負担も金額のゼロが1つ多くなるでしょう。
複数の犬を飼って吠え始めると、近所迷惑にもなるはず。
飼い主は、世話も手間もかかり、私生活の大半を犬に占められることも珍しくありません。
そうした事情から、子犬を生んだのはいいが、育てられなくて捨ててしまう飼い主がいます。
それはよくありません。
ご存じですか。
子犬を動物センターに保護してもらった後の行く末を。
たいていの場合は、ガス処分されます。
つまり、罪のない子が殺されてしまいます。
最初から「世話はできない」という自覚があるなら、去勢や避妊手術が動物虐待とも言い切れません。
多くの子犬を飼い主1人で育てられる自信がないなら、去勢・避妊手術も選択肢と考えていいのではないでしょうか。
罪のない子犬たちを殺してしまうほうが、よほどかわいそうです。
去勢・避妊手術をすべきか、それともありのままの姿で育てるべきか。
この答えは、世間が決めるのではなく、あなたが決めることなのです。