「わが子を天才ピアニストに育てたい!」
そう願って、問答無用でいち早く子どもをピアノ教室に通わせる親がいます。
子どもの才能を開花させようとして、早い時期から厳しく習い事をさせようとします。
才能が開花するだろうと信じている。
それは完全に親の都合です。
子どもの気持ちや意志をまったく無視しています。
これを「技能重視の才能教育」といいます。
才能発揮でまず必要なのは、技能ではありません。
心です。
技能は心があれば、おのずから伸びていきます。
もちろん早い時期からピアノを習い始めれば、技能は伸びることでしょう。
厳しいスパルタ教育を受けさせれば、さらに技能は伸びるに違いありません。
しかし、どれだけ技能が伸びたとしても、ピアノの才能が開花することはありません。
必ず行き詰まります。
好きでもないことを、親の理想の型にはめられて無理やりさせられるのは、苦痛だからです。
気持ちがなければ「逃げよう」とする気持ちが強くなります。
練習をサボったり、嘘をついたりなど、怠けるようになります。
ピアノの時間になると、急に笑顔が消え、元気がなくなります。
心を無視して、最初に技能から磨こうとすると、行き詰まります。
最初に必要なのは「心」です。
気持ちがあるかどうかです。
まず技能の上達の前に、心がなければいけません。
楽しさから教えるということです。
子どもがピアノを好きになれば「練習しろ」と言わなくても、自分から進んで練習しようとします。
ピアノが大好きになれば、もっとうまくなりたい気持ちも出てきます。
しかもさらにいいことが、2つもあります。
「集中力」と「根気」が、自然と身につくことです。
好きなことだからこそ、集中ができるようになり、上達も早くなります。
好きなことなら、疲れを感じにくくなります。
ストレスに強くなり、練習量が自然と増え、上達がたちまち早くなります。
好きなことだからこそ、困難にぶつかっても、根気で切り抜けようとします。
「楽しい」「好き」「面白い」と感じるからこそ、難しいことが出てきても、逆に楽しんでしまうようになります。
心が先にあれば、ピアノをしている時間そのものが幸せになります。
技能は、後から自然と身につきます。
しかも長続きします。
子どもが何をしたいのかという心を重視して、教育させるようにしましょう。