「子どもの才能を伸ばす」というテーマがあっても、その方法は曖昧です。
子どもを褒めればいいのか。
子どもに愛情を与えるといいのか。
早くから外国語を教えたほうがいいのか。
何がどのくらい必要で、どうすれば才能に結びつくのか、はっきりわからない人が多いのではないでしょうか。
この問いに対して、知っておきたい法則があります。
「マズローの5段階欲求説」です。
子どもの才能を伸ばすためには、この5段階欲求説からです。
才能を伸ばすうえで、なくてはならない法則です。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人の欲求には基本的に5段階あることを発見しました。
この法則には、異を主張する学者もまだ多いですが、概要についてはおおむね世界的に理解されています。
まずは、5段階のピラミッド型が特徴です。
土台の底辺は、生理的な欲求です。
対して、ピラミッドの頂点は「自己実現」という欲求です。
この欲求の特徴は、2段階目を満たすためには、必ず前の段階が満たされていなければいけないということです。
つまり、3段階目である愛情欲求を満たしたければ、前の段階である安全欲求を満たしていなければいけません。
4段階目である承認欲求を満たしたければ、前の段階である愛情欲求を満たしていなければいけないということです。
第1段階の生理的欲求で、食事や睡眠を十分に取ります。
第2段階の安全欲求で、衣食住などを確保します。
第3段階の愛情欲求で、親から十分な愛情を受け取ります。
第4段階の承認欲求で、親・先生・友人などから「褒められる」「認められる」という体験を積み重ね、自信をつけていきます。
才能の発見や夢の追求がどこかというと、ピラミッドの頂点に当たる5段階目「自己実現欲求」に当たります。
実は第1段階から第4段階までは、別名「欠乏欲求」といわれています。
足りないものを補い、満たすという意味です。
穴を埋めるための欲求です。
対して、第5段階のみ「成長欲求」と呼ばれます。
穴が埋め終わり、山を作るということです。
自己の成長を促し、才能を発揮しながら社会の役に立てようとする欲求です。
さて、ここまでお話しすれば、ぼんやりしたイメージが、かなり具体的になってきたのではないでしょうか。
子どもに対して、いきなり「才能を伸ばしなさい」と言っても、酷な話です。
才能を発見したり伸ばしたり役立てたりするには、まず「生理的、安全、愛情、承認」の「欠乏欲求」を満たす必要があります。
親が子どもの才能を発揮してもらいたければ「生理的、安全、愛情、承認」の4つの要素を、十分に与えることです。
子どもは自ら自然と「夢を叶えたい、才能を発揮したい」という成長しようとする気持ちになります。
これが子どもの才能を伸ばす、大前提なのです。