「一度も失敗したことがありません」
ときどき、仕事や恋愛など、自分には失敗経験が一度もない人がいます。
大勢の人が、そういう発言ができるような人間を目指そうとします。
たしかに「一度も失敗したことがありません」という発言は素晴らしい。
完璧であるに超したことはありません。
ですが、どことなく「嫌み」が感じられませんか。
「私は完璧なんです。あなたとは違うんです」というニュアンスが伝わってきます。
言葉として表現はしていませんが、そういう意味やニュアンスが伝わってくるから、言葉とは難しいです。
そういう人に限って、一度でも失敗をしてしまうと、急に隠したがろうとします。
本当は隠す必要はありません。
堂々と「何度も失敗したことがあります」と言えばいい。
人間ですから失敗はあって当然です。
「何度でも失敗があります」と言えるほうが、はるかに人間味があり、魅力的です。
数多くの失敗を経験している人のほうが、人の気持ちを理解できたり、話に共感できたりすることでしょう。
1つも傷がついていない侍より、体にところどころ傷痕がある侍のほうが強そうに見えます。
それだけたくさんの修羅場をくぐり抜けてきていることがわかるからです。
傷がないつるつるの肌の人は、修羅場そのものをくぐり抜けてきたより、避けてきたのではないかと思います。
傷があるほうが、貫禄があり強くてかっこよく見えます。
「何度も失敗したことがあります」とは自分で傷を見せる行為です。
それは自分を下げるどころか、逆に高めているのです。