ほうっておけば勝手にお客さんがやってきて、商品がたくさん売れるという話はありません。
そんなおいしい話があれば、商売は苦労しません。
そういう話は、うさんくさい広告やチラシにあるだけです。
実際は、売れているお店ほど「どうすれば売れるのか」と知恵を振り絞っています。
日々、売る努力をしています。
職種は関係ありません。
私が住んでいるアパートの近くに「池田屋」という魚屋さんがあります。
昭和26年創業の老舗です。
店内はとても狭いですが、売ろうとする努力がよく伝わってくる魚屋です。
「今日のお魚は、新鮮取れたてだよ」と大きな声でアピールしています。
「今日の夕食にどうですか」と、路上にいる人たちに話しかけます。
そういう声が聞こえると「ちょっと見ていこうかな」と思い、足を運びます。
毎週日曜日の午後2時半からは「大マグロの解体ショー」をやっています。
大きなマグロを人前で切るのは見応えがあり、集客に一役買っています。
その魚屋の近くに、小さな琉球料理店があります。
地下1階にあるお店のため、立地条件はよくありません。
店内も広くありません。
しかし、営業時間前には店員が店頭に出て、通りすがりの人に割引券を配っています。
割引券をもらうと「安くなるなら、夕食に行ってみようかな」と思います。
また、営業時間前に、路上に立って割引券を配っている姿にも心を打たれます。
真夏や真冬の中でも、売ろうと努力をしているのが、ひしひし伝わってきます。
そういう人たちの「売ろうとする努力」は、やはり報われます。
紹介した2件のお店は、開業と廃業が短い期間で繰り返される三軒茶屋で、安定して生き残っているお店です。
店は小さくて立地条件も悪くても、確実に売り上げを伸ばしています。
まったく廃業の様子すら見せません。
店内の広さや立地条件などは、関係ありません。
努力と知恵があれば、必ず克服できるはずです。
売ろうと努力していない人は、努力している人に、やはり負けてしまいます。
売ろうとする当然の努力をすることが、最も大切なことなのです。