私たちは、仕事を楽にするために「省略語」をよく使います。
省略語は、大いなる時間の節約をもたらします。
たしかに省略語は便利です。
言いやすく、伝えやすくなります。
仕事を減らすために効果を発揮します。
ストレスも小さくなるでしょう。
しかし、それも適度さが重要です。
ある程度、一般的に知れ渡っている省略語を使う分には、お互いにとって有益です。
しかし、何でも省略をすればいいわけではありません。
度が過ぎれば、逆効果になります。
ある日、職場の同僚から「資料をVしておきました」という連絡がありました。
「V」というのは、言葉を省略しすぎです。
その連絡を受けた私は、はじめ、意味がわかりませんでした。
「ピースサイン」という表現で「うまくいきました」という意味かと思いました。
しかし、別の英単語の頭文字かもしれません。
心当たりのある英単語をいくつか思い浮かべましたが、本当に正しいのかどうかという自信がありません。
こういうのは気になるほど、頭から離れなくなります。
あまり大した意味ではないかもしれません。
しかし、重要な連絡かもしれず、ほうっておくわけにもいきません。
気になって仕方なくなり、本人に尋ねてみることにしました。
この時点で、時間とエネルギーをかなりロスしています。
答えは「バージョンアップしておきました」という意味でした。
「Version UP」の「V」でした。
「それなら最初から省略せずに、そう伝えてくれ」と、思いました。
省略しすぎた言葉のせいで、仕事が減るどころか、逆に増えてしまった例です。
省略語の欠点は、度が過ぎると、知らない人に理解できないという点です。
場合によっては、誤解を招いて、仕事のミスや失敗を誘発させることにもなりかねません。
面倒だからとはいえ、省略語を乱用しすぎると、理解できない人への説明が必要になり、余計に仕事が増えることになります。
楽にしようと思って使った省略語のために、面倒が増えるというのは、本末転倒なのです。