物覚えがいい人、物覚えの悪い人がいます。
年配者だけに限らず、若い人でも、うっかり忘れる人は、よくします。
そういう人は、そもそも生まれたときから、頭の出来が違うのかと思います。
覚えるまでは時間がかかるのに、忘れるときは一瞬です。
自分が一生懸命に覚えることを、他人はすぐ覚えてしまうことがあります。
自分はあっという間に忘れてしまうことを、他人は忘れずに覚えていることがあります。
「自分はなぜこんなに、物忘れがひどいのだろうか」
他人と比べてしまい、ときおり、自分の頭の悪さを嘆きたくなったことはありませんか。
「物覚えのよさは、生まれつきの性質ではないか」と思いたくなるときがあります。
しかし、そうではありません。
頭の使い方が、少し苦手なだけです。
物覚えがよく「うっかり」が少ない人は、頭を上手に使う人です。
人間の脳は大きく分けて、3つの部分によって構成されています。
「脳幹」「大脳辺縁系」「大脳新皮質」です。
そうした基本構造は、人によって異なると言うことはなく、人であるかぎり、誰もが同じ構造です。
また人間の脳には、1,000億もの神経細胞があります。
その量は、ほとんど個人差はありません。
脳の重さも同じです。
人の脳の重さは、個人差はあれ、およそ1.5キロと言われます。
頭がいい人が重く、頭が悪い人が軽いわけでもありません。
天才と言われる人の脳でも1.5キロ以下の脳はありますし、1.5キロ以上の脳でも、才能に恵まれているわけではありません。
脳の重さは、知能指数には関係ありません。
つまり、もともとある素質は同じですから、頭の出来の問題ではありません。
では、何が違うのかというと「頭の使い方」です。
物覚えがいい人は、覚えやすくなる工夫、思い出しやすい工夫をしています。
結果として、物覚えがよくなり、うっかりとしたミスも少なくなります。
一方、物覚えが悪い人は、特に工夫も努力もせずに、そのまま覚えようとします。
これがいけません。
何も工夫をせずに覚えようとすると、人間はあっという間に忘れます。
自分は頭が悪いと、諦める必要はありません。
頭を変えるのではなく、使い方を磨きましょう。
覚え方や思い出し方を工夫すれば、性別や育ちは関係なく、誰でも物覚えがよくなるのです。