自分にとって手本を見つけることは重要です。
真似することを、否定的に考えてはいけません。
私たちがこうやって自由自在に言語を操ることができるようになったのは、親の言葉を真似したからです。
父や母、おじいちゃん、おばあちゃんの言葉を真似して、次第に身につけていきました。
一般的に、優秀な親の子は、優秀な子に育つといいます。
遺伝子レベルの話だけでなく、実際に最も大きく影響を及ぼしているポイントは「環境」です。
素晴らしい親に恵まれたということは、それだけで素晴らしい手本がいつもそばにいるということです。
これほど、心強いことはありません。
しかし、そんな親だけが、自分の手本というわけではありません。
友人であったり、恩師であったり、先輩であったりと、時代や環境に応じて自分にとって大切な手本となる対象が変わります。
学生のときだけでなく、社会人にとっても大切なことです。
仕事のできる先輩から学ぶことは、重要です。
仕事ができる先輩を、真似して、まるごと学ぶのです。
人そのものを手本にして、徹底的に吸収してしまいます。
できる人の真似をしていると、本当に自分もできるようになります。
先輩というくらいですから、仕事の手法がほかの人より優れていることはたしかです。
そのポイントを勉強しましょう。
間違いのない先輩の行動を真似すれば、あなたも間違うことはないはずです。
初めは理解できない行動でも、観察をすると、効果的な仕事の方法であることに気づきます。
私が社会人になったとき、西村さんという優秀な先輩がいました。
髪の毛は少なかったのですが、仕事のできる人です。
仕事上、何百通ものメールに目を通す仕事なのですが、西村さんは1日にほんの数回しかメールチェックをしません。
ほかの人たちは、メールの数があまりに多いため、いつもメールチェックのありさまです。
しかし、実際には、西村さんの仕事が一番評価されていました。
速くて、質が高くて、完璧です。
ほかの人より理解も仕事も速く、私にはその光景が不思議でなりませんでした。
「先輩の仕事のできる秘密はどこにあるのだろう」と、いつも考えていました。
そこである日、私は難しく考えることをやめて、西村さんの行動をそのまま真似してみたことがあります。
行動を共にしてみたり、発言を真似してみたりと、徹底的に吸収して、真似をしてみました。
するとその結果、なぜ仕事が速いのかが、ようやく理解できたのです。
同じ種類の仕事を、まとめて一気に集中的にこなしているのです。
電話対応の仕事なら、その種類の仕事だけをまとめて行います。
メールチェックなら、まとめて一気に集中して目を通します。
技術業務なら、技術業務だけをまとめて行います。
休憩をするときには、休憩をする。
そうすることで、同じ種類の仕事をまとめて行うことができ、吸収や集中も、しやすいというメリットがあります。
スイッチの切り替えがうまい先輩でした。
私は、自分が先輩の真似をして、その効果に驚いたものです。
仕事が速いできる先輩には、何か理由があります。
初めはとやかく言わず、真似をしてみると、その秘密がわかったりするのです。