人間の本当の愛は、日常生活においてどう表現されるのでしょうか。
どんなことが、本当の愛と言えることなのでしょうか。
本当の愛は「解放」という形によって表現されます。
「解放」は、まさに愛があるからこそできる行為です。
相手に対して愛がなければ、解放をすることはできません。
相手に対して愛がない人は、解放するどころか、束縛し、自分の物だけにしようと執着します。
好きな人同士が、相手が浮気しないようにとお互いが束縛し合うという話をよく耳にします。
かくいう私も、以前に付き合っていた女性と束縛し合っていたことがありました。
相手のことが好きであり、誰にも取られたくない気持ちから、お互いに束縛をし合っていました。
しかし、今振り返って考えると、本当の愛ではなかったということに気づきます。
ただ、相手を自分のものにしたいがための、誰にも取られたくないという執着の心だったのです。
当時、私と彼女は、お互いに束縛し合っていたこともあって、友人関係や学業にも支障を来していました。
束縛をし合っていますから、ほかの友人ともなかなか会えず、ましてや異性と会うなんて厳禁でした。
破ろうものなら、雷が落ちるところです。
いつも一緒にいる関係ですから、友人関係だけでなく、学業にも支障を来し始めます。
束縛をしても自分だけはいい気になるかもしれませんが、全体から見ると悪い方向へと傾いてしまっているのです。
私は当時の自分を振り返って、恥ずかしく思います。
自分は、ただ彼女を誰にも取られたくないという執着の愛によって付き合っていたのだとわかります。
本当の愛ではなかったのです。
もし、私が彼女に対して本当の愛があれば、必ず「解放」ができたはずです。
いつでも友人と会うことを許し、異性と会うことも許します。
常にメールを交わすこともやめて「気になったときにメールしていいよ」と優しく話しかけることでしょう。
そのように解放することで、彼女は自由に動き回れるようになり、人生が豊かになるからです。
幸せになれるからです。
彼女にとって本当の幸せは、ずっと私に束縛されることではなく、解放されるときにあるのです。
ちょうど、飼い主と犬の関係のようなものです。
いくら飼い主が犬好きだからとはいえ、ずっと鎖につなぎっぱなしでは、犬にはマイナスになります。
自由に走り回ることができなくなり、足腰が弱り、ストレスがたまり、食べる一方でブクブクと太ってしまうでしょう。
いくら飼い主が犬に対して愛があっても、束縛をしているかぎりは、本当の愛ではないのです。
犬に健康で元気になってもらおうと犬の幸せを第一に考える人は、必ず鎖を離すことができます。
自由に動き回れたほうが、自由に走り回ることができ、足腰が強くなり、ストレス解消にもなるからです。
本当の愛に目覚めるために、束縛はやめましょう。
束縛ではなく、解き放つことが、本当の愛の表現となるのです。