食べ物にも「表情」があります。
食べ物には顔がありません。
目も鼻も口もないので、表情も存在しないように思うかもしれませんが、誤解です。
単純な見た目にとらわれています。
顔はなくても表情はあるのです。
顔の造形だけが表情ではありません。
色、形、香りなど、おいしそうな雰囲気はすべて表情です。
人の表情は、目・鼻・口で形作られますが、食べ物の表情は、色・形・香りで形作られます。
朝食・昼食・夕食にも表情があります。
フルコース料理にも表情があります。
シンプルな単品から手の込んだ料理まで、どんな食べ物にも表情があるから面白い。
目の前においしそうな料理があれば、いきなり食べるのではなく、まずそれぞれの表情に注目してください。
鮮やかな色合いも、美しい盛り付けも、食欲をそそる香り。
すべてが表情です。
ぐつぐつと煮える音や立ち上る湯気も表情の1つです。
あなたが食べようとするものをじっくり見つめてください。
「おいしそう!」と思いながら見ていると、にこにこしている様子が見えてくるでしょう。
顔はなくても、ポジティブな雰囲気が感じられるはずです。
それが表情です。
食べ物の表情に気づけば、ついこちらの表情も緩みます。
食生活もますます豊かになります。
食事の時間とは、食べ物の表情を見つけ、楽しむ時間なのです。