レストランで注意したいマナーがあります。
お店の人が料理を運んで、テーブルの上に会計伝票を置きます。
このとき、会計伝票を置く前に料理を食べ始める人がいます。
つまり、食事が運ばれてきた瞬間です。
一刻も早く食べたい気持ちはわかりますが、これはよくありません。
いわば、フライングスタートです。
会計伝票を置く前に食べ始めると「余裕のない人」に映ります。
早く食べたい気持ちがあるとはいえ、余裕のない様子は品がありません。
お店の人は「会計伝票を置く時間すら待てないのだろうか」と驚くでしょう。
お店の人だけでなく、同席している人も驚かせてしまいます。
「どうしたのだろう。よほどおなかがすいているのだろうか」と思うに違いありません。
特におなかがすいているときは要注意です。
空腹でたまらないときは、食べることで頭がいっぱいです。
早く食べ始めたい気持ちが強いと、つい余裕のない行動を取ってしまうことが少なくありません。
料理が運ばれてきたら、まず気持ちを落ち着かせましょう。
空腹でも焦らないことです。
「温かいものは温かいうちに」「冷たいものは冷たいうちに」という考え方もあるでしょう。
だからといって、フライングスタートは厳禁です。
会計伝票が置かれたらすぐ食べればいいかというと、そこにも注意が必要です。
会計伝票が置かれてすぐ食べ始めるのではありません。
まず一呼吸置いてから食べ始めましょう。
待つとはいえ、長い時間ではありません。
ほんの数秒です。
一呼吸置いてから食べ始めると、落ち着いた印象があって上品に映ります。
料理が運ばれ、テーブルに会計伝票が置かれたら、一呼吸置いてから食べ始めましょう。
このときの「一呼吸」は、料理を眺める時間に充てるといいでしょう。
料理は作品です。
美術館では作品をじっくり眺めて楽しみますが、レストランでも同じです。
料理が運ばれてきたら、じっくり鑑賞してから食べ始めるといいでしょう。
じっくり料理を眺めるのもよし。
食欲をかき立てられ、食べるのがますます楽しみになります。
じっくり器を眺めるのもよし。
美しい器であれば、特徴に気づくセンスが養われるでしょう。
お店の人に、笑顔と軽い会釈をしてから食べ始めると、落ち着きがあってさらに上品です。