先入観・偏見・固定観念。
それぞれ似た意味であるため、違いを区別していない人も多いのではないでしょうか。
人によっては、同じ意味と考えている人もいるかもしれません。
たしかに意味は似ていますが、厳密には異なります。
一言で言えば「偏見も固定観念も、先入観の一種」ということです。
どちらも最初は先入観ですが、情報の偏りや時間の経過によって、偏見や固定観念に変わっていきます。
悪影響も、先入観より偏見や固定観念のほうが大きくなります。
それぞれの違いについて具体的に確認していきましょう。
先入観とは、最初に知ったことで作り上げられた、固定的な観念をいいます。
私たちは、最初に知ったことを正しいと信じやすい傾向があります。
学校で学んだこと、人から聞いた話、メディアから得られる情報。
生活を通してさまざまな知識を得ていく中で、自然と先入観ができ、影響を受けます。
先入観は、生活に役立つことがある一方、自由な思考の妨げとなることもあります。
もし先入観が強かったり偏っていたりするなら、生活に悪影響が及びやすくなるため、できるだけなくしていく努力が必要です。
先入観をゼロにするのは難しくても、最小限に抑える努力が必要です。
偏見とは、否定的な先入観です。
先入観の一種であり、否定的な情報に偏った見解のことをいいます。
最初はささいな思い込みですが、否定的な情報ばかり知るにつれて認識にゆがみが生じて、偏見に変わっていきます。
たとえば、ある国の不祥事ばかり見聞きしていると、その国や人々に対して悪い印象を持ち、偏見に変わります。
「その国に行くと危ない」「その国の人に関わってはいけない」などの誤った認識が生じます。
一部の事例で全部を決め付けている状態です。
偏見にはマイナスの作用しかありません。
偏った考えにとらわれると正しい現実が見えなくなるため、偏見は、できるだけなくしていくことが大切です。
偏見をなくすことは可能です。
偏見は、否定的な情報に偏って吸収しているため、なくしていくのは先入観より時間がかかります。
否定的な情報だけでなく、肯定的な情報も知ることで、視野と見識が広がり、偏見をなくしていけます。
固定観念とは、一度正しいと思い込んだ結果、容易に変えることができなくなった考えをいいます。
固定観念も先入観の一種ですが、先入観より固定の度合いが頑強です。
たとえば「お酒は健康によくない」という固定観念ができると、後からプラスの情報を知っても、素直に納得をしません。
たとえお酒の効果・効用を知っても「信じられない」「嘘に決まっている」と反発して、受け入れにくい現象が生じます。
固定観念は、それが正しいと強く信じているため、後から矛盾する事実を知っても修正しにくいのが特徴です。
そのため、固定観念をなくすのは、先入観より難しくなります。
それぞれの違いをわかりやすく説明すれば、次のようになります。
偏見も固定観念も、人を不幸にすることはあっても、幸せにすることはありません。
偏見も固定観念も、先入観と同じく、できるだけなくしていく努力が大切です。