とあるテレビ番組で、女優がバンジージャンプに挑戦する企画がありました。
視聴者としては「きっと怖がって、いつまで経っても飛ばないだろう」という流れを予想します。
アシスタントが「3、2、1」と言っても「やっぱり無理」と言ってしゃがみ込むのが、定番です。
1回飛べば済むことが、ためらうばかりで、30分も1時間も時間が過ぎるのです。
ところがです。
アシスタントが「3、2、1」と言った瞬間、ためらいもなく1発で、バンジージャンプを決めてしまいました。
見ている側が、期待を裏切られます。
アシスタントも「1回目で決めるのは珍しいな」という顔をしていました。
飛び終わった後「よく1回目でできましたね。怖くなかったのですか」と話しかけると、興味深いことを言いました。
「ためらうほど、余計に怖くなると思ったから、1回目で決めた」と言うのです。
素晴らしいです。
人間は、怖いと思うほど、余計に怖く感じる傾向があります。
心の中で「怖い、怖い」と唱えるたびに、恐怖が膨らみます。
心の準備のつもりで時間をかけるほうが、かえって恐怖が大きくなり、心が乱れてしまうのです。
恐怖を小さくしたければ、何度もやり直さないことです。
怖いからこそ、いきなり1回目で終わらせましょう。
1回目で決めれば、恐怖が最も小さくて済むのです。