カジュアルなレストランでは、テーブルの上に塩やコショウなど、調味料が置かれているのが一般的です。
料理を食べて味が足りないと思ったとき、テーブルの上に置いてある調味料を使って、味を調え直せます。
一方、フォーマルなレストランでは、テーブルに調味料を置いていないのが一般的です。
サービスが悪いのではありません。
あえて、置かないようにしています。
なぜでしょうか。
「できるだけそのままで食べてほしい」という料理人からの意思表示なのです。
フォーマルなレストランでは、料理とはいえ、料理人の芸術作品です。
あらかじめ味が調えられた状態で提供されています。
バランスを考えて調理された料理に、好き勝手に調味料が加えられると、本来の味から外れます。
それは、料理人が一生懸命作った作品を壊してしまう行為に当たります。
特にフォーマルなレストランでは、軽い気持ちで調味料が欲しいとお願いするのは、マナー違反です。
給仕に頼めば持ってきてくれるでしょうが、気持ちのいいことではありません。
「料理が悪い」と否定されているような印象を受け、誤解を生む可能性があります。
塩やコショウがなくても、できるだけそのままで食べるのがマナーです。
テーブルに調味料が置いていないのは、料理人が料理に対して責任を持って作っているという証しなのです。