レストランでのコース料理は、一皿ずつ、サーブされます。
学生時代、私はこのサーブのされ方に違和感を抱いていました。
一皿ずつ出される料理に、いらいらしていたのです。
食べ盛りの時期ということもあり、余計に不満を抱いていたのかもしれません。
「全部の料理をまとめて出してほしいな」と思っていました。
しかし、社会人になって何度もレストランでフルコース料理を経験していくうちに「一皿ずつサーブされる意味」を知りました。
レストラン側としては、3つ意味があります。
温かいものや冷たいものが最初にまとめて出てくると、食べているうちに、温かいものは冷め、冷たいものはぬるくなったりします。
一皿ずつ提供されるのは「出来立ての状態で提供したい。出来立ての状態を食べてほしい」レストラン側の願いが込められています。
一皿の料理が食べ終わっても、すぐ次の皿がサーブされません。
給仕は客人の食事の様子を見ているはずですから、終わるやいなや、すぐ次の料理を出せばいいと思うのですが、待たされます。
この時間を「待ち時間」と捉えるのではありません。
「後味に浸る時間」です。
後味の余韻に浸る時間を作るため、給仕はあえて「間」を作っているのです。
レストラン側としては、客人にわくわくする時間を作りたい希望があります。
一皿ずつ出てくるのは「心待ちにさせる」という意味があります。
「次はどんな料理だろうか」と、どきどきする時間や雰囲気の演出なのです。