執筆者:水口貴博

人生を変える「海外旅行」のすすめ

28

本当に感動させられるのは「鮮明な写真」より「色あせた記憶」である。

本当に感動させられるのは「鮮明な写真」より「色あせた記憶」である。 | 人生を変える「海外旅行」のすすめ

2003年の1月1日。

タイムズ・スクエアのカウントダウンを最後に、私は写真を一切撮らなくなりました。

タイムズ・スクエアのカウントダウンは、世界でも最も有名なイベントの1つです。

そのときの光景を写真に収めようとしていて、むきになっていました。

しかし、突然気づきました。

「写真を撮ってやるぞ」と躍起になるほど、その瞬間の感動を、本当に心から味わっていない自分に気づいた。

それからというもの、一切の写真を捨てました。

今まで撮った1,000枚以上の写真も、全部捨てました。

これからは「写真」として残すより「記憶」として残そうと思いました。

「そんなことしたら、後から振り返られない」と思いますが、振り返ることはできます。

そもそも記憶に残っていないのは、写真を撮ることに専念しすぎていたためです。

きちんとそのときの感動を心から味わっていれば、必ず記憶に残ります。

写真として残さなくても、記憶として残せばいい。

それは場所もお金もかかりません。

なにより記憶には、写真にはない素晴らしい機能があります。

時間とともに、ぼんやり色あせてしまうことです。

欠点のように思えますが、実に素晴らしい長所です。

あるようでないような、ぼんやりした記憶の状態がいい。

ぼんやり色あせた状態のほうが、思い出したとき哀愁を伴って「懐かしいな」「そういうこともあったね」と感動させられます。

それは写真にはできないことです。

写真は、あまりにはっきり映っていると、生々しくて白けます。

カラーの人物写真より、白黒の人物写真のほうが、味わい深いのと同じです。

古い様子や色あせた状態が長い歴史を感じさせ、深みを感じさせる。

だんだん時間とともに色あせていくのは、ワインのようです。

はっきり残すことだけがすべてではありません。

時間とともにぼんやりしていく記憶のほうが、哀愁が帯びるため、深い感動があるのです。

人生を変える「海外旅行」のすすめ(28)
  • だんだん色あせていく記憶の素晴らしさに気づく。
海外旅行によって「世界の人はすべて、同じ人間」という認識を深めることができる。

人生を変える「海外旅行」のすすめ

  1. さあ、世界に目を向けよう。
    海外旅行をすると、見識が一気に広がる。
  2. 昔に比べ、現代ほど海外旅行がしやすい時代はない。
  3. 学生時代こそ、海外旅行をするベストタイミング。
  4. 難しく考えない。
    「行きたい」と思ったときに行くのが一番。
  5. 海外旅行の第一関門は、親の説得。
  6. 学生なら、遊びも勉強として受け止めてもらいやすい。
  7. 海外旅行で敷居が低くなる方法。
  8. 外国人に見慣れること。
    これが見識を広める第一歩。
  9. 本場は、おいしくない?
  10. 自分が感じる「おいしい」という基準は、必ずしも世界共通とは限らない。
  11. 期待をしつつも、期待しすぎないほうがいい。
  12. 「余裕ができてから」と思えるのは、すでに余裕がある証拠。
  13. 海外の体験は、海外でしかできない。
  14. 批判は抜きにして「そういうものだ」と受け入れる。
  15. 本当に素晴らしい観光地は、1回ではとても見切れない。
  16. 観光地は「誰と行くか」でまったく変わる。
  17. 時間もお金もなくていい。
    先に航空券を購入する。
    すると、時間とお金は作られていく。
  18. 海外旅行へ行くと、母国を客観視でき、素晴らしさを再認識できるようになる。
  19. 未知の経験が、素晴らしい教養。
    教えられたわけでもなく「なるほど」とわかることがある。
  20. 余裕がないときこそ、海外旅行をする意味は大きい。
  21. パスポートの出入国のスタンプは、勇気の証明。
  22. 現地の人と「挨拶」だけでなく「会話」もする。
  23. 自分の限界を超えるのは、難しいようで簡単。
  24. 若いころに受けた刺激は、その人の土台を作り上げる。
  25. なぜ海外に行くと、恋に落ちやすくなるのか。
  26. すべてを知ったつもりになっているのは、新しい情報が入ってこないから。
  27. 夢中になって写真を撮るより、自分の目で見て、感動すること。
  28. 本当に感動させられるのは「鮮明な写真」より「色あせた記憶」である。
  29. 海外旅行によって「世界の人はすべて、同じ人間」という認識を深めることができる。
  30. 興味があるから行くのではなく、行くから興味が出てくる。

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