「高校の卒業旅行として、海外旅行をしたい」
突然の息子の主張に、親は当然、驚いた表情をしました。
当時の私はすでに大学受験に失敗し、浪人することが決定していました。
浪人が決定し、卒業式を待つ微妙な時期。
遊んでいる暇があるなら勉強しろ、と誰もが思います。
それは自分でもよくわかっていました。
しかし、そこは若気の至り。
やはり抑えきれない衝動というのがあります。
高校の卒業旅行は、一生に一度しかありません。
また刺激が欲しくてたまらない若い時期でもあります。
「無理かもしれない」と思いながら、思い切って海外旅行に行くための資金援助を、親に願い出ました。
「大反対をされるだろう」と覚悟していました。
しかし、です。
「まあ、勉強になるからいいだろう」と言って、意外にも許してくれました。
あっけなく主張が通ったので、こけそうになったくらいです。
寛大だった親に助けられました。
親に願い出たときの私の表情に、そういう覚悟がにじみ出ていたのかもしれません。
しかし、もしあのとき反対していたとしても、説得したと思います。
そのくらい「行きたい、行ってみたい、海外の様子を直接見てみたい」という気持ちでいっぱいでした。