食事をするときには、食事だけ楽しむのではありません。
盛り付けられている食器を、見て楽しむことが大切です。
私が家族で徳島にいる妹の大学へ、学園祭を見に行ったときのことです。
大学の近くに、しっかりお茶をたててくれるお店があり、お茶を飲みに行きました。
座る椅子は、日本的な赤い布が敷かれてあり、テーブルもとても落ち着いています。
店内には本格的なお茶のいい香りがします。
大きな器に、少しだけ緑色のお茶が入っていました。
母はみんなが飲む前に「これはこのように飲むのよ」という説明を始めました。
母は昔、茶道をやっていました。
人一倍、お茶にはうるさい人です。
「飲む前に、まず茶碗を見てから飲むと、よりおいしくいただける」と母が言った一言が印象的でした。
たしかにそのときに飲んだ茶碗は、立派なものでした。
茶碗博物館に置かれていそうな、立派な茶碗です。
茶碗をよく見てから、お茶を飲むと、お茶の味が深い味わいに変わってきます。
私は「これはお茶だけでなく、食事をするときには大切なことだな」と思いました。
コーヒーショップにしろ、レストランにしろ、独特の器に食事が盛り付けされていることが多いです。
私は、今までそれに気づかずに、ただ食べてばかりいました。
独特の器にも、お店のこだわりがあります。
器で、違う視点から、おいしさを楽しむことができるようになるのです。
食事では、食べるものを見るだけではありません。
盛り付けられている器も、見て楽しむことが、よりおいしく食事をいただくことができるコツなのです。