人は往々にして、ある程度年を取ってくると、若い人たちの行動が見えてくるようになります。
そのために、若い人によく説教をしがちになります。
「若いころにもっと勉強すれば、賢い大人になるよ」
「遊んでいる時間があったら、家族と一緒に時間を過ごすほうが大切だよ」
こういうことを考えるようになった私も、もうおじさんになりかけているのかもしれません。
しかし、私も同じ道を歩んできたからこそ、アドバイスできることなのです。
私が上京して、仕事が決まったときのことです。
まず、家族に報告をと思い、連絡をしました。
家族に連絡をしたのはいいのですが、おばあちゃんに連絡を忘れていました。
おばあちゃんは違うところに住んでいて、親戚側の人たちと一緒に暮らしています。
私が、おばあちゃんに報告するのを忘れていて、案の定、母から「おばあちゃんにも貴博から報告しなさい」と言われました。
それで、おばあちゃんに電話をすると、仕事が決まったことをすでに知っていました。
どうやら、母が先に連絡を入れてくれたようです。
私はおばあちゃんから、いろいろと仕事のことについて聞かれました。
そのうち、話が脱線し始めました。
「お金を貯めて、ばあちゃんが生きているうちに結婚して、あれやこれや……」という流れになり、話がだんだんそれてきました。
そのうち「おばあちゃんの若いころは……」と演説が始まります。
私は、ただ受話器を耳につけているだけで、ほとんど話していません。
話が説教っぽくなってきました。
「おばあちゃんも一生懸命説教してくれているんだ」と思い、我慢しながらでしたが、最後まで聞いていました。
おばあちゃんから見れば、今の私はまだまだ学習が足りなくて心配なのでしょう。
だからこそ、一生懸命説教をしてくれることに気づかなければいけません。
説教なんてむかつくと言う人がいますが、むかつく話こそ、ぜひ聞かせてもらいましょう。
説教の中にこそ、先人たちが見つけた知恵が隠れているのです。