本当にきれいな部屋は、何のにおいもありません。
無臭です。
人の好みで、きれいさを演出するにおいを、部屋につけることもできます。
それは、その人の好みです。
本人だけの部屋なら、いいでしょう。
それでも、ほかのお客さんが来るときは、においはないほうが無難です。
そのにおいは、お客さんの好みとは限らないからです。
たとえ好みでも、においは「面白い性質」があります。
においに慣れてしまうと、におわなくなるということです。
私はこれで、大失敗を犯してしまったことがあります。
友人の部屋に遊びに行ったとき、いい香りのする部屋で、よい印象を受けたため、自分も真似をしようと思いました。
私は真似をするのが好きです。
得意です。
さっそく部屋にスプレーするための香水を買い、部屋に噴射します。
いいにおいで、私は満足でした。
しかし、それから数日後、おかしなことが起こりました。
いつも同じ量でスプレーしているはずなのに、においが弱くなっているのです。
「おかしいな。香水の成分が薄くなったのかな」と思い、以前より量を増やして、スプレーしました。
ところがある日、友人がやって来た日のことです。
入るとすぐ「うわっ、すごいにおい。どうしたの?」と言うのです。
私の鼻では、あまり、においません。
そのとき、ようやくわかりました。
私はにおいに慣れてしまい、におわなくなっていたのです。
友人は嫌な顔をしていました。
友人に不快感を与えるようでは、きれいな部屋は失格です。
それからというもの、部屋にはめったににおいをつけることはなくなりました。
無臭にしてからは、友人からの評判もよくなりました。
ある韓国人の友人に「タカの部屋は、何もにおわないから、部屋にいやすい」と言ってくれたときは嬉しかった。
きれいなにおいは、何もにおわない「無臭」のことだったのです。