「要するに」という言葉は、話をまとめるときに使う言葉です。
会議のような話し合いをまとめる席では使ってもいいでしょう。
しかし、これを、いつも日常から使っていると「軽くしか話を聞いてくれない人」と思われるようになります。
「要するに」を使ってしまうと、そこで話が終わってしまうからです。
「要するに、こういうことでしょ」
「こう言いたいんでしょ」
「つまり、こういうことだ」
熱く語っていることも、一言でまとめられると「今まで一生懸命に話していたことは、なんだったんだ」と思い、冷たく感じます。
もちろん相手に失礼な態度です。
こういうときには、できるかぎり「たとえば」を使って、話をしましょう。
「たとえば」を使うと具体的になり、わかりやすい話となります。
「たとえば、こういうときには、こうすればいい」
「たとえば、こういうふうに使えばいい」
例えを使って話をすると、理解がしやすくなり、面白く感じてくれます。
私は、文章を書くときには、できるかぎり「たとえば」を使って話をするように心がけています。
たとえのない話は、冷たく淡々として、面白くありません。
たとえば次のうち、あなたはどちらに温かい印象を受けますか。
どちらも挨拶を勧める言葉ですが、ささいな違いによって受け方が大きく変わります。
「要するに、挨拶さえすればいい」
「たとえば、私は先日、泣いている人に挨拶をした。少し明るくなってくれた」
前者は、説明書のように淡々と要点を述べています。
間違ってはいませんが、冷たくて大きく印象に残りません。
学校の優等生のように、正しいことを言ってはいるけれど、面白くない状態です。
後者は、著者の体験を交えて話をしているためイメージがしやすく、温かい印象を受けます。
口だけの話は面白さに欠けますが、自分の実体験を話してくれると、印象に深く残ります。