近くで鑑賞したくても、難しい場合があります。
作品によっては、床にラインが引かれていて、その外側から鑑賞することになります。
ラインの内側に入ってはいけないというルールがあります。
一般的には作品から50センチ程度ですが、作品によっては1メートル以上離れてラインが引かれていることも少なくありません。
数億円レベルの作品もあれば、歴史上1つだけの作品もあります。
弁償ができないものは、美術館としても大変な注意が必要となるところなのです。
うっかりラインの内側に入ると、すぐさま監視スタッフから声がかかるのです。
間近でじっくり鑑賞したくても、なかなか難しい場合があります。
レオナル・ド・ダビンチの名画『モナリザ』は、5メートルの距離が開けられているうえ、防弾のガラスケースに入っています。
有名作品ほど至近距離から鑑賞したいのですが、そうした有名作品に限って近寄れず、もどかしいときがあるのです。
そんなとき役立つのが「単眼鏡」です。
単眼鏡とは、片目でのぞくタイプの、コンパクトな望遠鏡です。
「双眼鏡の片目バージョン」をイメージすればわかりやすいでしょう。
片目とはいえ、れっきとした望遠鏡なので、細部まではっきり鑑賞できます。
有名作品では、細かな表現や技法が使われていることがよくあります。
単眼鏡を使えば、距離があっても、細部まで鑑賞を楽しめます。
単眼鏡を通して作品を見ることで、より奥深い美術の世界を堪能できるのです。
作品の細部までしっかり鑑賞したいなら、ぜひ用意しておくといいでしょう。
単眼鏡は数千円の価格帯なので安価に入手できます。
ネットショップで購入できるほか、美術館のミュージアムショップでも販売されていることもあります。
単眼鏡は、なくて困ることはあっても、あって困ることはありません。
興味のある方は、ぜひ購入しておくといいでしょう。
単眼鏡は「4倍」と「6倍」の2種類が一般的です。
倍率が高くなるにつれて視野が狭くなり、手ぶれの影響も大きくなります。
初心者であれば、視野が広く、手ぶれの影響が小さい4倍がおすすめです。
ただし、美術館だけでなく、旅先で仏像や建物などの鑑賞にも兼用したいなら、倍率の高いタイプのほうが汎用性があります。
どちらも美術鑑賞に適しているので、好みで選ぶといいでしょう。
作品との距離があっても、拡大して鑑賞できるのが、単眼鏡の魅力です。
鼻をくっつけているかのような感覚で楽しめるはずです。
細部まで見えると、美術の感動も倍増します。
単眼鏡は、美術鑑賞をより深く味わうためのアイテムなのです。