子どものころに読んだ童話や昔話を読み返してみましょう。
桃太郎、竹取物語、一寸法師、ウサギとカメ、鶴の恩返し、花咲かじいさん、わらしべ長者、舌切りスズメ。
白雪姫、シンデレラ、赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル、アリとキリギリス、3匹の子豚、ブレーメンの音楽隊。
「懐かしいなあ」
「そういえばこんな内容だったね」
「子どものころは、桃太郎に憧れていたよね」
目を輝かせながら面白い物語に魅せられていた自分を思い出すに違いありません。
懐かしい感じがあって、童心に返ったり初心を思い出したりできます。
しかし、得られることはそれだけではありません。
子どものころは「楽しい」「面白い」としか感じなかった昔話も、大人になって読み返すと違った印象を受けることがあります。
年齢を重ねるにつれて、知識や人生経験が積み重なり、大きく成長します。
その結果、子どものときとは違った印象を受けたり、新しい気づきがあったりして楽しめるのです。
童話や昔話は、表向きの物語だけでなく、別の意味が含まれていることがあります。
たとえば、桃太郎です。
子どものころは「桃太郎は勇気があって強い人。イヌ、サル、キジと力を合わせて鬼を退治した」くらいにしか思いませんでした。
大人になってもう一度見ると、新たな発見に気づかされます。
違った桃太郎は「適材適所の達人」であり「優秀なリーダー」であることに気づかされるでしょう。
竹取物語についても違った見方ができるかもしれません。
子どものころに受けた物語の印象はシンプルでした。
「竹から生まれたかぐや姫は、最後、月に帰っていった」という受け止め方で終わることがほとんどです。
ところが大人になってあらためて読み返すと、別の視点に気づかされることがあります。
「かぐや姫は、月に帰ったのではなく、自害してあの世に戻ったのではないか」という死の隠喩である可能性もあるでしょう。
さらに別の視点として「そもそもかぐや姫は宇宙人だったのではないか」という解釈もできるはずです。
正解・不正解は別にして、新しい見方や考え方に気づくことは少なくありません。
昔話が長年語り継がれているのは、そこに「深い意味」が隠されているからです。
別の視点で見ることで、別の意味や新しい解釈ができることがあります。
「こういう見方もできるな」
「こんな意味も含まれているかもしれない」
「実は隠喩を表現しているのではないか」
昔話に含まれる教訓や含蓄に気づくことで、昔話をもっと楽しめるようになります。
昔話は、子どもだけが読むものではありません。
大人になった今こそ、読み返してみる価値があるのです。