アメリカの国立公園「グランド・キャニオン」に行くと、驚くべき光景を目にしました。
たいてい絶壁には、柵があるものです。
崖が高いほど、安全のために柵を作るのが、一般的です。
しかし、グランド・キャニオンの絶壁には、柵がありません。
崖から下を見下ろすと、何百メートルもあります。
落ちれば、確実に死にます。
崖にあるのは、警告を促す看板だけです。
「毎年、何人か落ちて死んでいます。あなたも気をつけてください。自己責任です」
厳しい警告文が、平然と書かれています。
あまりに平然と書かれているため、観光客は看板の前で、引いていました。
看板を見た後、みんな急に口数が減り、真剣な顔つきで歩き始めるのです。
それほど危険な崖なら柵くらい作ってもいいのですが、自己責任です。
柵があると、安心します。
柵がないから、警戒します。
あえて警戒心を高めるために柵をつくらず、すべて自己責任とさせるのが、いかにもアメリカらしいです。
グランド・キャニオンに限らず、そもそも私たちの人生は、自己責任です。
人生も、うっかりすると、崖から落ちます。
人生も、柵がないほうがいいのです。
「人生は自己責任だ」と思うほうが、緊張感が増し、かえって安全です。
常に緊張感を持って、足元に気をつけながら歩みましょう。
現実の結果は、すべて自分の行動が跳ね返ってきたものなのです。