あるところに、コンテストに落選した、2人の画家がいました。
1人の画家は、ひどく落ち込み、こう言いました。
「コンテストに入賞しないなんて、自分には才能がないのだろう」
青ざめた顔で、ため息をつきました。
その後も、何度もコンテストに応募しましたが、いつも落ちてばかりです。
「もうダメだ。完全に自信をなくした」
途方に暮れて、ついに画家になる夢を諦めました。
持っている色彩用具を全部捨てて、まったく別の道を歩み始めました。
もう1人の画家は、違いました。
コンテストに入賞しないことを、喜んだのです。
「担当者の理解を超える、ハイレベルの感性を持っている証拠だ。自分はきっと大物になる」と考えていたのです。
「入賞しないのは、自分のレベルが高すぎるせいだろう」という発想です。
その後も、何度もコンテストに応募しましたが、いつも落ちてばかりです。
落選するたびに、喜びました。
そうして彼は勢いをつけて、独自の世界観を作り出しました。
独自の世界観が珍しく、しばらくして、彼は世界的に有名になりました。
その画家こそ、フランスの印象派の画家、ルノアールだったのです。