私はときどき、読者からお便りをいただくことがあります。
ときどき、なかなか返事に困るお便りがあります。
「返信、待っています」です。
強い期待が感じられますが、実はとても返信しにくいのです。
受け取った瞬間から「すでに相手は待っている。早く返信しなければ」と思い、焦ります。
命令されているような感じもして、苦手です。
「返信、待っています」という一言から、どことなく相手の横柄な人柄が感じられます。
いきなり初対面から命令されて、嬉しいと感じる人は少ないはずです。
義務感でメールのやりとりをしてしまい、楽しくありません。
出会った瞬間のときめきが、しょんぼりします。
せっかく嬉しい文章なのに、最後の「返信、待っています」の一言で、台無しなのです。
逆に、返信をしたくなるお便りもあります。
忙しい私のことを気遣って「返信は不要です」と書かれているメッセージです。
そういう内容には、返信したくなるのです。
義務感がありません。
義務感がないので体が軽くなり、返信のメールを書きやすくなります。
「返信は不要です」という一言から、相手の優しい心が感じられます。
優しい気遣いをされると「すてきな人に違いない」と思い、返信をしたくなるのです。
そういう経験を繰り返しているので、私はプライベートのメールでも「返信不要です」と書くことがあります。
実際、この一言を加え始めて気づいたことがあります。
受け取る側だけでなく、送る側にとってもかなり楽だとわかりました。
相手からの返信を待つ必要がありません。
返信がなくて、がっかりすることがないのです。
もし返信が来れば、嬉しさも倍増です。
期待していないときほど、感動は大きくなります。
お互いの負担を小さく、お互いの感動が大きくなる工夫は、こんなところにあったのです。