飛行機に乗ったことがある人ならご存じと思いますが、飛行機は大変乾燥しています。
髪の毛はぱさぱさ。
肌もかさかさ。
湿度は、20パーセント以下。
時には、10パーセントのときもあります。
これは砂漠と同じくらいの乾燥状態です。
「加湿器があればいいのにな」
いいえ、実は加湿器が設置できても、あえて設置していない理由があります。
そもそもなぜ飛行機内は乾燥しているのでしょうか。
飛行機は、上空10,000メートルのところを飛びます。
上空10,000メートルは、気温マイナス50度の世界です。
南極や北極と同じような環境です。
もし、外の空気を飛行機内に送風すれば、乗っている人は凍え死にます。
では、どう、温めているのか。
「飛行機のエンジン」です。
飛行機のエンジンが作る熱は850度前後と、大変高熱です。
この高熱を使って、外のマイナス50度の空気を快適な温度になるように調整しているのです。
一件落着と言いたいところですが、違います。
1つ重大な問題があります。
調整された温度の空気を機内へ送ると「結露」の原因になるのです。
冷たいジュースをコップに入れると、自然とコップの外側に水滴ができますね。
飛行機内でも、それと同じ状態になりかねないのです。
結露による水滴ができると、大変です。
飛行機がさびたり、配線故障の原因になったりします。
飛行機のわずかな故障は、人命に関わることです。
その結露を防ぐために、水分除去装置を使って「わざと」空気を乾燥させています。
空気が乾燥していれば、結露にならないからです。
飛行機の乾燥は、意図的にしていることです。
決して、私たちを困らせるために乾燥させているわけではありません。
むしろ、私たちの命を守るための安全対策の一環なのです。