面白い文章を書くために、読者が喜ぶとっておきのネタがあります。
「失敗談」です。
失敗談は、つまらないし、ためにならないと思われがちですが、とんでもないです。
失敗談こそ、読者が面白いと感じてくれるエピソードなのです。
作家を目指し、よい文章を書こうとする人は、成功談を求めがちです。
成功談も面白いですが、失敗談のほうがもっと面白いです。
どういうわけか日本では、芸能人のスクープが大人気です。
「誰々が別れた。誰々が離婚した。~の事件が起こった」というように、何かの失敗談は、人々の注意を引き付けます。
人間は、元は不安な生き物です。
自分の立場を、少しでもほかの人より優位に立たせたい欲求があります。
その結果、人間は誰かの失敗談を、喜んで聞いてしまうのです。
「○○さん、失敗したの? かわいそうね。それに比べれば、まだ私は大丈夫」という感じで、自分を安心させるネタなのです。
私はある日、その仕組みに気づきました。
それからというもの、私は書き手の人間ですから、できるだけ自分の失敗談はどんどん公開するようにしました。
読者の方に、もっと面白く文章を読んでいただきたい。
私の失敗談で、誰かが安心したり面白がったりしてくれることに、特別、不快な気持ちにはなりません。
むしろ「自分の経験が誰かの役に立っている」という達成感のほうが、よほど気持ちよく感じられます。
注意しなければならないのは、悪口です。
私は、自分の悪口は言っても、他人の悪口だけは、口が裂けても言わないようにしています。
自分の文章で、誰かが嫌な気持ちになるのは、私にとっても悲しいことなのです。
面白い文章を書くためには、自分の失敗談を書けばいいのです。
もしあなたが、悲劇のヒロインなら、よい文章が書けます。
できるだけたくさん失敗しましょう。
そう考えると、日常すべての出来事(成功談・失敗談)が、書くネタになり、積極的に行動できるようになります。
私はそれからというもの、失敗すると「いいネタができた」と喜んでしまうようになりました。