私が新人のころ、毎日残業で夜遅くまで仕事をしていた時期がありました。
新人ですから、人一倍、仕事をたくさん経験して、早く成長したい気持ちがありました。
そういう気持ちもあって、毎日残業をして、無理な仕事をしていた時期がありました。
もちろん参加しているプロジェクトも大きいものだったので、新人の私だけでなく、先輩たちも夜遅くまで残業でした。
すると、2カ月あまりを過ぎたころです。
ある日、突然、肌に異変が見られました。
最初に異変があったのは、膝の裏側の部分が、かゆみ始めたことです。
初めは、ささいなかゆみでした。
しかし、回復することはなく、日に日にかゆみが強くなっていきました。
続いて、腕です。
二の腕の一部だけが、極端にかゆくなり始めました。
そのかゆみも、日に日に大きくなり、あげくには夜眠れないほどのかゆみです。
悪いのはこれだけではありません。
かゆいところは、膝や腕だけでなく、少しずつ広がっていきました。
だんだん転移して、背中や首など、広がる一方でした。
かゆみ止めがなければ、仕事を続けるのさえままならないという、ひどいかゆみの状態でした。
最初私は、単純に肌が弱いからだと思っていました。
しかし、医者に診てもらったところ「ストレス性アレルギー」と診断されました。
ストレスを感じることで、肌の調子が悪くなるというアレルギーです。
東京という慣れない環境や、仕事でのストレスなど、強いストレスを長期間感じることで、肌が荒れるとのことです。
そこでストレスが小さくなるような対策を、積極的に取るようになりました。
睡眠時間をさらに長くし、仕事はできるだけ無理をせず、定時には退社するなど心がけました。
タイミングよく、ゴールデンウィークがやってきました。
ストレス対策のため、思い切って12連休という長期的な休暇をいただきました。
その間、実家の愛媛で、家族とゆっくり休養をしました。
するとその間は、さっとかゆみが引きました。
肌は、ようやく改善に向かい始めました。
まさにストレスが原因だったのだと、自覚できた瞬間でした。
ストレスは肌に悪影響を及ぼすとは、本で読んだことはありますが、自分の体でこれほどはっきり体験したことは初めてでした。
貴重な体験ができたと思っています。
もちろんストレスを感じて肌への影響の出方には、個人差があります。
私の場合は、特にすぐ肌に影響が出るタイプです。
そもそも私の肌が弱い体質も、拍車をかけていたのでしょう。
同じ生活を送っているにもかかわらず、まったく問題ない人がいて、羨ましく思いました。
しかし、ある日、ふと気づきました。
「ストレスに敏感な肌だからこそ、早めに手を打つことができる」ということです。
ストレスを感じても、表面に表れなければ、自分でも気づけません。
取り返しが付かなくなってからでは遅い。
しかし、ストレスに弱い肌というのは、逆をいえば、ストレスの状態を容易に確認できるということです。
弱い肌だからこそ、優秀なセンサーと言い換えることができます。
このストレスに敏感な肌のおかげで、逆に助けられたことも何度かあります。
ストレスの影響が出やすい肌だからこそ、感じているストレスの度合いを目で確認できます。
仕事の量を調整したり、適度に休んだりなど、手遅れにならない段階で、早めに手を打つことができました。
私は急に意識が変わりました。
今まで苦手意識があった弱い肌を、実は宝なのだと考えを改めた瞬間でした。
優秀な「ストレス計測機」を身につけているようなものです。
自分の欠点をプラスに変えた瞬間でした。
私は今、自分の肌で感じているストレスを計っています。
感じているストレスは、目に見えません。
見えないからこそ、ストレスに弱い肌は、確認手段になります。
あなたにも同じ症状があれば、考え方を改めましょう。
自分が何かにアレルギーを持っているということは、実は優秀な計測機を身につけているということです。
扱い方さえ正しければ、むしろ健康のために役立てることができるはずなのです。