街を歩いていると、次のような言葉を目にします。
私は言葉を扱う人間として、残念だなと思う表現です。
さて、どこがよくないのか、おわかりでしょうか。
「タバコを吸ってはいけない」
「ポイ捨てをしてはいけない」
「お酒の飲みすぎはいけない」
「食事の食べすぎはいけない」
「仕事のしすぎはいけない」
どれも間違ってはいません。
内容としては、どれも正解です。
しかし、読んでいて、元気がなくなりませんか。
「あれもダメ。これもダメ」と言われると「どうすればいいんだ。何もできないじゃないか」と思います。
否定した言葉、禁止された言葉を聞き続けると、私たちは元気がなくなり、行動する気持ちがうせてしまいます。
否定する言葉は、元気を奪います。
間違っていない言葉ですから「悪い」とは指摘しにくいものです。
しかも「するな」と言われると、したくなるのが人間です。
こういう否定した言葉により、人々の元気を奪っているだけでなく、むしろ事件を増やしているのではないかと懸念してしまいます。
このちょっとした表現の違いにおける心の変化に、気づきました。
私が文章の説明をする際には「否定」で説明するのではなく「肯定」で説明するようにしています。
読者の元気を奪いたくないし、読んで元気になるような文章を書きたいからです。
上に挙げた言葉を、肯定した言葉に変えると、次のようになります。
「タバコより、空気を吸おう」
「タバコの吸い殻は吸い殻入れに入れよう」
「お酒より、水を飲もう」
「食事は、腹八分目で抑えよう」
「切りのいいところで、仕事を区切ろう」
いかがでしょうか。
明るく前向きな表現に変わりましたね。
読んでいて何だか、元気が出てきませんか。
「こうすればいいんだ」と、明るい未来がぱっと開ける気がします。
肯定する言葉は、人に元気を与えます。
説明をするときには、常に、肯定した言葉を使いましょう。
話を聞いた後に、聞いた人が元気にならないと、うまく説明できたとは言えないのです。