人間は、自分の話は聞いてもらいたいけれど、人の話はなかなか聞こうとしません。
「愛されたい。認められたい」という欲求があるからです。
自分の主張はしても、人の主張は聞こうとしないのです。
私は、多くの読者に読んでもらえるよう、説得力を意識しています。
話す内容より、話し方に気を使っています。
話す内容は、大した問題ではありません。
感動は、事実だけを述べた内容にはありません。
事実だけを述べている話し方は「説明書」です。
間違ってはいませんが、面白くありません。
説得力のある話し方を心がけるために、初心者が取り組みやすい方法を紹介します。
「自分の体験談を紹介すること」です。
体験談を話す口調は、説得力のある話し方になっています。
話をするときの表情は大切です。
「表情は、言葉より、語る」と言われます。
表情は、言葉以上にパワーを持つメッセージです。
話をするときに、淡々と事実だけを述べる話し方は、上手な話し方とは言えません。
正しいけれど、説得力がなければ、聞いている人の気持ちをつかむことはできません。
校長先生のつまらない話と同じです。
相手の話を聞いていると「それはちょっと違うな」と思うことがあります。
特に自分の話に自信を持っている人は、当たり前であるかのように話を進めます。
しかし、納得できないあなたは、こう言います。
私はいつも自分の文章の説得力を上げるために「言い切る」というスタイルで書いています。
自信を持ち言い切った話し方は、説得力が向上する話し方です。
「~します」
ときどき話の長い人がいます。
言いたい気持ちが度を越えて、くどくど話を長く続ける人です。
本当に聞いてもらいたい話は、長くてはいけません。
私の職場に、説得力のある話し方をする人がいます。
話の一つ一つに説得力があり、ついうなずいてしまいます。
「なぜだろうか」と振り返ったとき、彼の話の共通点に気づきました。
言いたいことをダイレクトに言っても、説得力がないと、弱いメッセージになります。
そのままを口にするのもいいのですが、説得力を加えるためには、もう少し工夫が必要です。
私がいつも行っている説得力を上げるための工夫を紹介しましょう。
私は書けば書くほど、浮き彫りのように気づいてしまうことがあります。
「世の中には、善も悪もない」という事実です。
気づきたくないですが、これだけたくさんの文章を書いていると、気づいてしまいます。
1本足のやじろべえは、足が1本しかないだけに、不安定です。
転げやすくなります。
しかし、2本足の人間は、左右に足がありますから、2本足で安定しています。
私が仕事で、部下にお願いするときのことです。
ある仕事のお願いをしたときに、ちょっと苦手そうな顔をするときがあります。
私は直感的に「あまりやりたくないんだな」とわかりますが、おかまいなしに続けていつも言う言葉があります。
説得する言葉には「精神論」と「方法論」があります。
精神論で説得する言葉には、次のような語り文句があります。
「もっと頑張ろう」
人間は、限定に弱い生き物です。
限定を感じると、焦り始め、行動をしたくなります。
デパートで「今だけ30パーセントオフ」と書いていると「今だけなら買っておこうかな」と思います。
「今日、残業してくれない」
こう言われると、誰もが嫌がります。
その気持ちは、よくわかります。
説得力とは「いかに押すのか」ではありません。
「いかに、その気にさせるか」です。
その気にさせるために、まずは相手を褒めちぎって、元気になってもらうことがポイントです。
お願いのポイントは、あなたが相手のところへ出向くことです。
お願いをするからとはいえ、相手を自分のところへ呼び寄せるのでは失礼です。
あなたが相手のところまで、わざわざ出向きます。
説得をしているときの、あなたの服装をチェックしましょう。
説得といえば、話術ばかりに気を向けてしまいます。
しかし「話術」だけでなく「外見」も重要なポイントです。
説得させようとするときは、言葉と態度が重要です。
しかし、ときどき、相手にYesを言わせるために、わざと威圧的な言葉を使う人がいます。
「やれ!」
説得するとは、相手を愛することです。
相手を愛することが、説得することにつながります。
愛のない説得は、単なる自分都合の話です。
「ギブ&テイク」という言葉は、よく耳にします。
しかし「テイク&ギブ」という言葉は、不思議と耳にしません。
物事のやりとりの基本は「まず与えてから受け取る」という流れだからです。
私は文章を書くときには、前向きな言葉をたくさん使うようにしています。
元気になるような言葉です。
明るく積極的になる言葉です。
あなたが誰かを説得するためには、まずあなたが元気になっておきましょう。
あなたが元気になっていると、そのオーラは必ず相手に伝わります。
元気になっているあなたを見て「同じようになりたい」と思い始めるからです。
説得が必要な場面では、謙虚になることが大切です。
偉そうな態度を取らない。
腰を低くしながら丁寧にお願いをするほうが、相手の心を動かしやすくなるため、説得に応じてもらいやすくなります。
私は仕事上、人を説得して、お願いをすることがあります。
もちろん私は説得をする立場なので、十分に相手に気を使って説得をしようと思います。
自分の経験から、午後になってお願いをすると、なかなか説得がしにくくなる法則を感じています。
説得とはいえ、相手が自分より年上であったり、身分が高い人であったりする場合があります。
当然ですが、自分より立場の高い人にお願いをしても、断られるケースが多くなります。
そうは言っても、年上の人や身分の高い人を説得しなければならない場合があることでしょう。
私が以前に、ある人から説得を受けたときのことです。
大きな仕事をするときに、複数のグループを作りました。
1人ではできない内容だったので、グループをいくつか作って、仕事を分けて処理しようと思ったときのことです。
説得をするときに、相手の目を見ることは大切です。
しかし、目を見るとはいえ、適度さが必要です。
目を見ることを「見つめる」「にらむ」「凝視」と大げさにする人が、ときどきいます。