才能発揮について考えるとき、歌うときのことを考えればわかりやすくイメージが浮かびます。
歌を歌うときには、大勢で歌う「合唱」と、1人だけで歌う「ソロ」の2パターンがあります。
大勢で歌うときには大きな声が出て、ボリュームのある力強さがあります。
その一方、1人で歌うソロでは、合唱のようなボリュームこそはありませんが、個人の声の美しさが強調される面があります。
どちらがよいのかというと、どちらもよいのです。
合唱には合唱の良いところがあり、ソロにはソロの良いところがあります。
自分が才能を発揮する際には、どちらがより効果的なのかをあらためて考えることで、より才能を引き伸ばしていけます。
あなたが今、楽しくしていることは、個人プレーでやるほうがよいですか。
それとも団体プレーでやるほうがよいですか。
どちらがよいわけではなく、どちらがあなたに合っているか、考えてみましょう。
やはり1人だけのほうが、集中ができて、邪魔もされないからやりやすい人もいるでしょう。
しかし、中にはみんなで一緒に協力してやりたい人もいるでしょう。
私なら、個人プレーが向いていると強く感じています。
もともと物を書くという作業は、1つの哲学を軸にして、軸を中心に語っていくことです。
たくさんの人の考え方を取り入れたり流されたりしてしまうと、軸がぶれ、話の内容に一貫性が取れなくなります。
みんなで考えて作ると考え方がぶつかり「俺が正しい。いいえ、私のほうが正しい」という喧嘩にさえなってしまうでしょう。
私は、いつも1人になって書くようにしています。
その一方で、団体で動かないと成り立たないこともあります。
代表的なことと言えば、会社経営です。
一部の個人で経営している極小会社を除き、ほとんどの株式会社では社長と社員、株主で成り立っています。
会社の経営は社長が行い、大勢の社員が動いて目的を果たします。
しかし、社長のワンマン経営でいくわけにはいきません。
毎年開かれる株主総会で株主からの指摘や考えを取り入れて会社を動かしていく必要があります。
株主は会社に出資をしてくれている(お金を出してくれている)大本です。
株主の発言を無視することはできず、ワンマン経営は難しいのです。
まさに会社経営は、団体だからこそ達成できることなのです。
自分の今おかれている状況を考えて、どちらのほうがパワーを発揮できるか考えてみましょう。
団体か、それとも個人か。
才能には「個人の美しさ」と「団体の強さ」を使い分ける必要があるのです。