何の前触れもなく、突然アルコール依存症になることはありません。
アルコール依存症は、小さな習慣から始まります。
最初は小さな習慣であっても、それが常態化してエスカレートしていくことで、依存症に発展していきます。
つまり、アルコール依存症には「入り口」があるのです。
「アルコール依存症の入り口」と呼ばれるお酒の飲み方が、3つあります。
「寝酒」「昼酒」「迎え酒」です。
どれか1つでも心当たりがあれば要注意。
すでにアルコール依存症の入り口に立っていると言えるでしょう。
「就寝前にお酒を飲むと、寝入りがよくなる」という人もいるでしょう。
たしかにお酒を飲むと、ぼんやりした意識になるおかげで寝入りがよくなることもあります。
「お酒を睡眠薬代わり」と考える人もいるかもしれません。
しかし、基本的に寝酒は要注意です。
お酒で眠くなるのは、アルコールによる作用で意識が低下しているにすぎません。
寝入りはよくても、脳の活動を低下させるため、浅い睡眠になります。
寝酒が習慣になると、今度はお酒がないと寝られない体質になってしまいます。
お酒がないと寝られない状態は、言い換えると、お酒に依存している状態です。
すでにアルコール依存症の入り口に立っていると言えます。
寝酒は、睡眠の質にも悪影響を与えます。
寝酒をすると、お酒による利尿作用でトイレに行きたくなり、夜中に目が覚めてしまいます。
「夜中にトイレで目が覚めてから眠れなくなった」という苦い経験がある人もいるでしょう。
寝付きがよくなるとはいえ、言い換えれば、それだけしかメリットがありません。
できるだけ寝酒は避けておくようにしましょう。
昼酒とは、昼間からお酒を飲むことをいいます。
もちろんまれに昼酒を楽しむくらいなら、まだいいのです。
たとえば、お祭り・イベント・祝い事など、昼間にお酒を飲むシチュエーションもあるでしょう。
昼間から飲むお酒は、特別感があって格別です。
あくまで限られたシチュエーションであれば、昼間からお酒を飲むのも悪くありません。
自営業やフリーランスなど、時間が自由に使える職業なら、昼酒であっても、上司に怒られることはありません。
しかし、昼酒が毎日の習慣となると、事情は変わります。
毎日昼間からお酒を飲むと、飲酒量が一気に増えてしまいます。
思考力が低下して、集中力や記憶力も悪くなり、仕事の質や生産性が低下します。
毎日昼酒を飲んでいる習慣があるなら、すでにアルコール依存症のイエローカードです。
特別なシチュエーションを除いて、できるだけ昼酒は避けておくのがいいでしょう。
迎え酒とは、二日酔いの不快感を発散させるために飲む酒のことをいいます。
二日酔いで苦しいとき、お酒を飲むと一時的に治ったような気がします。
しかし、残念ですが、単なる気のせいです。
アルコールによる作用で、感覚が麻痺して、一時的に不快感がなくなっているだけです。
迎え酒は、肝臓をいじめる飲み方です。
迎え酒が習慣になると、二日酔いで苦しんではお酒を飲み、また二日酔いで苦しんではお酒を飲むことになります。
肝臓に大ダメージを与えることになり、アルコール依存症のリスクが高まります。
迎え酒は、いかなる事情があろうと厳禁です。
迎え酒をするくらいなら、水やスポーツドリンクを飲むほうが健全です。
寝酒・昼酒・迎え酒のいずれかの習慣が1つでもあるなら、イエローカードです。
ゆっくりではあるものの、少しずつアルコール依存症に向かっている状態のため、今すぐ改善に取りかかりましょう。
寝酒・昼酒・迎え酒の習慣がすべて当てはまるなら、完全にレッドカードです。
すでにアルコール依存症かもしれません。
「酒は百薬の長」と呼ばれますが、あくまで適量を守った場合のこと。
お酒は、少なからず体に負担をかける行為であることを覚えておいてください。
寝酒・昼酒・迎え酒は、アルコール依存症の入り口なのです。
いずれかの習慣があるなら、できるだけ早い改善をおすすめします。