「責任転嫁」
そう聞いたとき、どんな印象を持ちますか。
「責任転嫁は悪いこと」
「責任転嫁があってはならない」
「責任転嫁は、道徳に反する行為」
こうした認識が多いのではないでしょうか。
世間全体で見ても、責任転嫁にはネガティブなイメージがあるため「控えるべきもの」とされています。
しかし、すべての責任転嫁を悪と決め付けるのは早計です。
「責任転嫁」と一言で言っても、大きく分けて、2種類あります。
「不当な責任転嫁」と「妥当な責任転嫁」です。
それぞれ同じような意味に思えますが、本質は似て非なるもの。
きちんと違いを区別して、責任転嫁について理解を深めておくことが大切です。
不当な責任転嫁はよくありません。
明らかに自分が悪いにもかかわらず、自分が負うべき責任を他人になすりつけるのはマナー違反。
大人としても社会人としても恥ずかしい行為です。
自分に責任があるなら、きちんと非を認め、反省が必要です。
そのうえで、現実に応じた責任を果たす必要があるでしょう。
すべての責任転嫁が悪いとは限りません。
たとえば、責任者という立場でもないのに、無理やり全責任を負わされるのは不自然です。
受け持ってもいない仕事の責任まで負わされるのは、不条理です。
また、不可抗力による事故や災害の責任まで負うのは、無理があるでしょう。
たとえ担当の仕事であっても、仕方ない事情が存在するなら、情状酌量の余地はあるでしょう。
もし自分が不当に責任を負わされていると感じたら、きちんと主張してください。
自分の潔白を証明したり、誤解を解いたりしたほうがいい。
これは、妥当な責任転嫁です。
妥当な責任転嫁は、許される行為です。
間違っていることではなく、むしろ正しいこと。
「それは、私の担当の仕事ではない」
「自分に無関係の責任まで負わされている」
「責任の在り方が不公平だ」
少し勇気が必要ですが、人生を生き抜くためには大切です。
何でも責任を負っていては、身も心も押しつぶされ、生活も人生も破綻します。
真面目になるなら、きちんと責任を負うことが大切ですが、不必要に責任を負うのは、真面目を通り超してナンセンスです。
正しい責任を負うから、正しく反省できます。
妥当な責任転嫁をしていくことで、精神的なストレスも軽くなります。
不当な責任転嫁はNGですが、妥当な責任転嫁はOKなのです。