オリンピック選手が試合前、作戦についてのインタビューを見かけることがあります。
「作戦は考えていますか」という質問です。
視聴者としては、何か特別な作戦があるのかと期待します。
しかし、返事はいつも同じようなパターンです。
「いいえ。特に考えていません。全力を出し切るのみです」といった回答です。
どのスポーツの、どの選手に聞いても、同じことを言います。
「へえ、そうなのか」と何気なく受け止めてしまいそうですが、ここがポイントです。
この返事は、本当の返事ではありません。
嘘です。
口にしないとはいえ、プロ選手は、必ず作戦を考えています。
口にしないのは、相手選手に作戦を知られないためです。
テレビで口にしたとたん、相手選手の耳に入り、作戦の意味がなくなります。
また、考えていないふりをして、相手選手を油断させる意味もあります。
作戦に関する質問では「考えていない」と答えるのが、スポーツ界の定番になっています。
聞かれてもそう答えろという、監督からのお達しがあります。
私たちは、つい誤解します。
「プロ選手でさえ作戦を考えないなら、私たちも考えなくていいだろう」と。
とんでもありません。
プロ選手は、あくまで作戦を立てていないふりをしているだけです。
本当は逆です。
立てていないどころか、入念に作戦を立てています。
どんな試合であろうと、必ず作戦は立てておくべきです。
作戦なくして試合に挑むのは、無防備です。
スポーツも戦いです。
戦争では、必ず作戦を立てるように、スポーツの試合でも、必ず作戦を立てるのが一般的です。
作戦のない戦いは、負けに行くようなものです。
成り行きに任せていると、相手の思いどおりになります。
先のことを考える習慣は大切です。
相手選手の過去の対戦成績を確認すれば、試合の流れを予想したり、弱点を把握したりできます。
あらかじめ、作戦を立てておけば、試合を有利に運びやすくなります。
本気で勝ちたいと思うなら、作戦は考えて当然なのです。