学生時代、キャンパスにとびきりかわいい女の子がいました。
1つ年上の女の子で、色白で、肌がきれいな、ショートヘアの女の子でした。
私は、完全に一目惚れをしました。
もちろんアプローチをしました。
授業が終わった後、キャンパスの椅子に腰掛けて、たくさん話をしました。
学校の帰り、2人で食事をしに行きました。
仲良くなってしばらくして、お願いもしていないのに、彼女がわざわざお弁当を作ってくれたこともありました。
心臓が飛び出るほど驚きましたし、涙が出るほど嬉しかったものです。
手応えを感じつつあったある日、衝撃の事実を知ります。
なんと彼女には、すでに彼氏がいたのです。
彼氏の話をする彼女の笑顔が、いつもよりぱっと明るくなるのを見て、私は引きつった笑顔で聞いていました。
よくよく考えると、当然です。
ルックスといい、性格といい、彼氏がいないほうが不自然だと思いました。
「そうなんだね」と言いながら、内心はショックを受けていました。
彼氏とは、うまくいっている様子でした。
だからとはいえ、別に自分たちの仲が悪くなるわけではありませんでした。
その後も、友人として親しく接していました。
友人として、終わっただけでした。
恋も成就しませんでした。
しかし、無駄な時間を過ごしたとは思っていません。
出会えただけでも、十分幸せでした。
すてきな人と接したり楽しんだりできたおかげで、すてきな思い出ができました。
その人と出会うことがなければ、すてきな思い出すらできなかったことでしょう。
学生時代の、はかなく、甘い思い出の1つです。
短い時間でしたが、出会って一緒に過ごせただけで、感謝です。