博物館や美術館では、入り口で「お荷物をお預かります」と案内されることがあります。
積極的に話しかけられるのが特徴です。
「優しい人だな。重い荷物だから気を使ってくれているのかな」と思います。
重い荷物から解放し、展示されているものに集中してもらうために、預かろうとしているのだろうと思います。
もちろんそういう意味もあるのでしょうが、実は他の意味があります。
展示されている物品を壊されたくないためです。
たとえば、大きなリュックサックを背負って館内を回るとします。
すると、背中が大きく飛び出た形になります。
振り向いたとき、背負っているリュックサックで展示物を傷つけたり落としたりしてしまう可能性があるのです。
国宝や文化財などが展示されているところでは、1つの傷で台無しになることがあります。
悪気があってそうしたわけではないにしても、やはり万が一と言うことがあります。
また「撮影禁止」と注意書きが書かれているにもかかわらず、撮影しようとする人もいます。
たまたま注意書きが視界に入らなくても、知らずに撮影をすることもあるでしょう。
そういう人たちの行為を防ぐためにも、カメラを含めた荷物をまるごと預かろうとしているのです。
つまり、荷物を預かろうするのは展示物を守るため。
そのため、施設によっては預けないと入れないところもあります。
特別な事情がないかぎりは、基本的に貴重品は自分で持っておくほうが無難ですが、このときばかりは素直に従うようにしましょう。
預けることにセキュリティー面の不安があっても、ルールはルールです。
一人一人がルールを守ることで展示物が守られ、多くの人に見てもらえるようになるのです。