世界でも、枕の下にチップを置くのは日本人くらいです。
ほかの国の人は、テーブルの上にチップを置きます。
それが一般的なチップの置き方です。
ところで、枕の下に置くチップの習慣は、誰がいつ何のために始めた習慣なのでしょうか。
これが、謎なのです。
私は、ほかの日本人に聞いたりインターネットで調べたりしました。
しかし、いつ、誰が、どこで、何のために始めたのかはっきりわかりません。
私の推測の域になりますが、1つ、心当たりがあります。
ある日本人が、海外旅行をしました。
チップはわかりやすくテーブルに置くものだと教わりました。
「それでは普通すぎる。もう少し工夫を加えて、粋な感謝の表現をしたい」
試行錯誤して思いついたのが、枕の下です。
「枕の下にあれば、メイドが掃除をしようとしたとき、気づくだろう。意外な場所だから、驚き感動するに違いない」
海外旅行をした1人の日本人が始めた、この行動を面白いと思ったほかの日本人も真似をし始め、自然と広まっていった。
同調を重んじる日本人だからこそ、真似をするのもあっという間に広まり、一般的になってしまった。
そういう経緯があったのではないかと思います。
そういう発想といい、そういう伝え方といい、いかにも日本人が考えそうだと思いませんか。
もちろん私の推測です。
しかし、私も日本生まれの日本育ちの日本人です。
日本人特有の以心伝心、暗黙の了解、同調行動などがあったのではないかと考えられます。
そういうことを考えついてしまう自分に「ああ。結局自分も日本人だ」と思ったりします。
海外では不思議がられる、枕の下に置くチップ。
その不自然な習慣は、日本人らしい考え方、気遣い、優しさなどが、垣間見える習慣です。