海外旅行で行くところと言えば、やはり観光地が代表的です。
その国の名所旧跡は、その国の文化や歴史の代表になっていることでしょう。
そのほか、有名なショッピングモール・博物館・美術館などもあります。
しかし、そういうところばかりを見て「よし。これでこの国のすべてを知ったぞ」と思うのは、違う気がします。
海外でありながら、何か本当の姿とは異なった部分を見ているような気がします。
お化粧をした状態であり、素顔ではありません。
もちろん観光地も、その国の代表的な一部の1つではありますが、そればかりではないはずです。
「もっと普通が見たい」
「もっと当たり前が見たい」
「もっと日常が見たい」
そう思います。
本音を聞きたいときの高揚感に似ています。
そこで私は海外旅行の際「何でもない場所」に行くようにしています。
どのくらい何でもない場所かというと、ガイドブックに載っていないような場所です。
本来ガイドブックには、おすすめのお店ばかりが書かれています。
あえて変化球として、ガイドブックに載ってもいないような、何でもない場所を歩いたり食事をしたりします。
これはおすすめです。
普通の場所ですから、目立ったものもないし、食事をしても期待はずれのものが出る可能性が大きい。
しかし、そのほうが、何かその国やその土地の「素顔」に触れている気がします。
シンガポールへ旅行に行ったときは、ガイドブックにも載っていない小さなデパートで買い物をしました。
ガイドブックに載っていないくらいですから、当然、別にこれといった目立ったものはありません。
もちろん周りに観光客なんて、1人もいません。
その国の本当の姿を見ているような気になり、嬉しくなります。
私はそのとき、その国の人の素顔、ありふれた素の日常を見ることができました。
夕食の材料を買いに、大きな買い物袋を持って歩いている主婦。
大きなテーブルを囲んで食事をしている家族連れ。
デパートに暇つぶしに来ている若い女性2人。
そうした何でもない光景こそ、その土地の暮らしが、鮮明に映し出されています。
「なるほど。これがこの国の日常風景か」
感動して、海外旅行らしく、いいものを見た気になるのです。